今週の「週刊isologue」は、「ソフトバンクのファイナンス(前編)」というタイトルで、その名のとおり、ソフトバンクという会社自体のファイナンスについて検討されています。

「ベンチャー企業のスクイーズアウト」の話はどこに行ってしまったのだろう・・・という疑問はさておき、今号も大変おもしろく勉強になる内容でした。


次回は、平成22年3月期のソフトバンクの決算説明会の内容の検証と、今回発行された社債、そして、ソフトバンク全体の財務状況をどう見るか、について考えたいと思います。



という言葉で締められているので、ソフトバンクの財務状況全体の検証は、次号にて行われるようです。
今号は、ソフトバンクとの関わりが深い「一般社団法人スレンダー」というSPV(個人的にはSPCという表現に馴染んでいるので、以降はSPCと記載します)を使ったファイナンスの実態に鋭く切り込む内容で、いつもながら、超多忙であろう磯崎先生が、よくまあここまで調べたうえに検証されたもんだ、と舌を巻くような内容になっています。


さて、磯崎先生も指摘されているように、ソフトバンクという会社に対しては、懐疑的な見方をされる方と「景気がいい」会社だという見方をされる方と、割と両極端に見方が分かれているのではないかと思います。
「そのあたり、実際どうなのよ?」
という疑問が今号の「ソフトバンクのファイナンス(前編)」の主たるテーマのようです。

今号では上述したとおり、一般社団法人スレンダーというSPCを利用したファイナンス・スキームに焦点を絞って検討がなされているのですが、ストラクチャード・ファイナンスの一手法として、興味深い内容となっています。

それがどのようなものか、あえて短くまとめてみると、
ソフトバンクが実質的に「支配」しているヤフー株式をSPCに預けて、それを担保にSPCからお金を調達する
というわけです。
ちなみにSPCは銀行からお金を調達しているので、
「SPCを噛ませて銀行からお金を借りている」
というのが、実際のところではないでしょうか。

ここでどうしてSPCを噛ませたのかは、週刊isologueをご覧頂ければおわかり頂けるのではないかと思います。


ところで、2007年の秋頃まででしょうか、不動産ファンドを中心に、SPCを利用したストラクチャード・ファイナンスが非常に注目を集めていました。
しかし2008年初め頃から、サブプライムローン問題の影響からか、日本の銀行や外資系投資銀行の融資が貸付を渋るようになり、やはり不動産ファンド運営会社を中心に不動産業界で倒産が相次ぎました。
そしてその後の「リーマン・ショック」へと至る怒涛のような流れはご存知のとおりです。

私はこのあたりについては門外漢ですので、あまり知ったようなことは言えないのですが、私の知る限りにおいても、社債発行などを中心として、SPCを利用したファイナンスというのは何だかんだと続いていました。
ただ、週刊isologueでも触れられていますが、SPCを利用したファイナンスに対する情報開示や、さらにいえば実体に則した情報の開示の要請が強くなってきており、ストラクチャード・ファイナンス全般に対する不透明感は徐々に払拭されつつあるのかな、と感じています。
逆にいえば、SPCを利用したファイナンスの「うまみ」も減ってきているのかなと、こう思うわけです。


そんなわけで仕事に行く時間ですので、尻切れトンボですがこの辺でさようなら。
ちなみに「登記情報提供サービス」で、「一般社団法人スレンダー」の情報を取得しようとしたのですが、利用時間は8:30からでした・・・役所と同じです。