風にころがる企業ホーマー

企業法務や経営に関する話題を中心に、気ままに情報発信してます。

タグ:転職

本エントリは、裏 法務系Advent Calendar 2023のエントリです。

ちひろ先生@弁護士さんからバトンを受け取りました。

 

 

さて、このAdvent Calendarの流れで転職報告をするのも何なのですが、今年一年を振り返ってみると、あまり大っぴらに転職したことを親しい方を含めご報告していなかったので、この機会に乗じてご報告してしまおうと思います。

 

転職しました、と言ってもそれほど最近のことではなく、今年5月のGW明けから現在の勤務先に移っています。

新たな勤務先は、JTCと呼ばれるような、創業50年を超える純和風の会社です。ベンチャーにいると決して見ることのない、社歴20年・30年というような人がゴロゴロいます。

ここ15年以上、ITベンチャー界隈をウロウロしていた自分のような軽いノリの人間を、果たしてそのような企業が受け入れてくれるのか、という不安もありましたが、案外違和感なくやっています。

 

転職先はそれなりの規模の上場企業ということもあり、また過去に不祥事を経験したということもあり、経営陣も「変わらなきゃ」という意識を強く持っていることから法務に対する期待は大きく、かなり自由にやらせてもらっており、気づくとあれやこれやと業務の範囲が拡がってきている状況です。

幸いこれまで図らずも、数多くの会社で法務を中心に管理部門全般をみてきたということもあり、「幅広く数多くの事例を知っている」というだけで、それなりに重宝されるものです。

本当に人生、何が役に立つかわからないものです。というか、過去の経験を無理やりにでも役立てる方法を考えることが大切なのかも知れません。

 

話は少し変わりますが、最近は「法務×●●」と、法務と何かを掛け合わせたキャリアを積もうという方が増えてきたように思います。法務担当者の需要も増えましたが優秀な人の供給も増えたので、それなりに稼いでいこうと思うと、当然自分なりの特徴を出していく必要があるのでしょう。法務の経験を活かせる他職種に移る方も増えてきましたね。

私自身も、この15年くらいはそのようなことをいつも意識してきました。当時は弁護士資格を持った法務担当者に遭遇することもほとんどありませんでしたが、早晩増えることは目に見えていたことから、法務一本で人並み以上に稼ぐのはよほど優秀でないと難しいだろうと考えていました。

そのため私は「法務×経営」ということを考え、会計・ファイナンス・組織論・経営戦略等々、ビジネススクールで学ぶようなことを「一人MBA」といった感覚でコツコツと(中途半端に)勉強していました。今では弁護士で経営者という人も数多く出てきているので、この掛け算は既に陳腐化しかけていますが、この掛け算がなければ、ここまで生き延びることもできなかったでしょう。

あとは「自分をどこに置けばより価値を感じてもらえるか」という視点もあり、(昔「おでん屋のたこ」の話)を書いたことを思い出しました)、それが今回の転職を決めたいくつかの理由の一つでもあります。

 

このようなことをいうと、「きっちりキャリアプランを持ってたのね」と思われるかも知れませんが、決してそのようなことはありません。ブログのタイトルどおり「風にころがる」ように経験を重ねてきました。

私のような「風にころがる」ようなキャリアは決してお勧めしませんが、一方でかなり細かく自分のキャリアプランを決め、それに合わないことはやらない、というような考え方をする方を見ることがあります。しかしそれはやめたほうがいいのではないかと常々思っています。

おおよその方角はある程度意識しておいたほうがいいと思いますが、短くも長い社会人生活の途中では本当に何が起きるかわかりません。

やってみると以外と自分に合っていた、面白かった、ということも多々あります。

逆にやってみたらうまくいかなかったということも当然あります。私自身、取締役や執行役員として経営に携わる経験を何度かさせてもらいましたが、新たに大株主になった会社がCFOを送り込んできて居場所がなくなるという経験もしましたし、管理部門の責任者としてあの分野もこの分野もと抱えるうちに、身動きが取れなくなってしまったこともあります。全てがうまくいくことはないので、あまり早いうちから選択肢を狭めすぎずにできるだけ楽しみながらやっていこうではないか、やってるうちに楽しくなることも多いよ、くらいに思っています。いずれ自分の適性も見えてくるので、そこで絞っていけばいいのではないでしょうか。

 

ということで、今年は数年に一度の転職イヤーでした。1年前の今頃は転職する気もなかったのですが、本当に何が起きるかわからないものです。

ちなみに私は一週間後に50歳になりますが、あと4-5年もすれば子どもたちも大学を卒業して就職しているはずです。今は何となくその後の働き方を考えたりしながら、まだまだ慌ただしい毎日を過ごしています。

 

そうそう、最近は昔からお付き合いのある方に久しぶりにお会いする機会を意識的に増やしています。

そしてこれまでおつき合いのなかった皆さんとも交流できればと思い、久しぶりにAdvent Calendarにエントリーした次第です。

 

日本の空き家問題を象徴するような、廃墟に近いこのブログですが、たまに静かに更新していくので、今後ともよろしくお願いします。

 

 

そのようなわけで、裏 法務系 Advent Calendar 2023のエントリでした。明日は、はるたろうさんです!

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8月号、9月号はまだ積読状態なのですが、tacさんが登場しているということや、その他諸々の理由から、10月号を先に読んでみました。

10月号の特集は「人材流動化時代の法務キャリア」ということで、企業法務の世界で生きている私たちにとっては非常に興味深いテーマであり、素通りするわけにはいきません。


また例によって私より数段早く、かつ、10倍程度わかりやすく「企業法務マンサバイバル」のtacさんが今回の特集についてまとめていらっしゃるので、詳しくはそちらをご覧ください。


          →10倍程度わかりやすい説明はコチラ


さて、巷間よく言われますしtacさんも書いていらっしゃる、
「転職は3回まで」
という話。
この手の話はいつも耳が痛いのですが、私はこの時点でアウトです。

さらに、Business Law Journal の中でも触れられている
「転職は35歳まで」
という話。
これまた私は、気がつくとギリギリアウトの年齢になってしまいました。

以上から、私が今回の特集を読む意味は全くないですね(笑)
とはいえ、今後の新人さん採用時の参考になる話題がてんこ盛りでした。

個人的に非常に興味深かったのが、「転職のノウハウ」と題した座談会の以下のくだり。


 私は採用面接もよくしますが、面接で法律知識を問うのはナンセンスだと思っています。六法を見れば分かることを聞いたり、取引内容の詳細な説明もないままに架空の契約書レビューをさせてもあまり意味がないでしょう。知識や経験についての最低限のスクリーニングは人材紹介会社に任せ、面接段階では社内クライアントとうまく付き合えるかどうか、あるいは「損得勘定」や「金利」といった営業センスをきちんと持っているのかを見るほうが重要です。

 営業センスは経営者自身が持っているはずで、そればかりを法務に求めるのはどうでしょうか。私は法務パーソンとは、ステークホルダー間の利害調整に苦しむ経営者を、確かな法律知識をもってサポートする役割だと思っています。加えて、経営者や現場の思いを法的に問題のないよう文章で表現する「確かな言語化能力」も求められます。とすれば、選考で法律知識や契約書作成力をしっかり確認することも必要なのでは・・・と個人的には思いますが。



「バランス」とひとことで片付けることもできるかも知れませんが、会社が法務担当者に求めているもの、法務担当者自身が求めているキャリアパス、そして会社における自身のポジションなどから、考え方に若干の相違が生じるのではないでしょうか。

とはいえ、個人的にはDさんのおっしゃるように、「法律知識や契約書作成力」というものも選考時に確認しておく必要があるのではないかと思います。
というのも、Fさんのおっしゃる「人材紹介会社によるスクリーニング」というのは、法務担当者に関してはあまりアテにならないように思うからです。
私自身、人材紹介会社を利用して転職したこともありますが、法務担当者として必要な知識などについて、必ずしも紹介会社の方は理解されていなかったように思います。
ただ私が採用する側であれば、Fさんのおっしゃること、言葉を換えると「ビジネス感覚」とでもいうのでしょうか。これは最低限持っていてほしいと思います。

そういった意味でやはり「バランス」は大切だなあ、と当たり前のことを再確認した次第です。

そういえば以前転職活動をしていたとき、ある会社の面接で、法務部門の主任クラスの方から次のような質問を受けたことを思い出しました。


典型契約13種類を挙げてください。



何を求めた質問であったのか未だに謎なのですが、10~11くらい挙げたところで「うーん・・・」と考えていたら、「あなたは勉強が足りませんね」と言われてしまいました。
これはまさにFさんのおっしゃる「六法を見ればわかること」の典型ですね。

話が逸れてしまいましたが、10月号も Business Law Journal ならではの特集が楽しめるので、是非読んでみてください。
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