風にころがる企業ホーマー

企業法務や経営に関することについて、情報発信していきまーす!

タグ:落合誠一

今にはじまったことではないのですが、「企業法務マンサバイバル」の tac さんなどから、

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ところで暴排といえば先日証券会社の約款でヘンな暴排条項見つけたのでいつかブログでネタにします。マル暴として高名なひろさんのご指導も賜りたく。


などと、反社会的勢力問題に関して「高名」な人であるかのように、すっかりおちょくられてしまっている私ですが、実は案外と会社法が好きだったりもします。
正確に言うと、「必要に迫られて調べたり対応したりしているうちにすっかり面白くなってしまった」というのが正確な表現のように思います。


過去にも何度か、会社法に関する渾身のエントリーを書いていて(渾身ではありますが、たいした内容ではありません)、それはそれで今でも訪問して下さる方の多いエントリーとなっています。
そして今回もまた、必要に迫られてGW返上で調べ物をしているわけです。

何を調べているかを現時点でここに書くことはできないのですが、いずれさりげなくまとめてUPしておきたいと思っています。
おそらく同様のことで頭を悩ませている方もいらっしゃるものと思いますので、何かのお役に立つのではないかと思っています。


さて、何を調べているかを書かないくせに、なぜ今ここに駄文を書いているかというと、会社法に関する書籍についてちょっと思うところなどを書いてみたくなったからです。

少し大きな本屋に行くと、「会社法○○」「○○会社法」といった分厚い本がたくさん並んでいて、どれを買えばいいのか悩んでしまうこともあるかも知れません。
私はそれらを全て読んだわけでもないので、ここで紹介させて頂くのは、本来であれば紹介するまでもない「定番」になってしまっていますが、まあいいではないですか。
所詮は素人の戯言ですので、「おいおい、それは違うぞ」とか「こっちの方がいいぞ」とか、色々なご意見もあるかと思いますが、そのようなときはコメント欄から優しくご指摘下さい。

もちろん「この本、最高なんだよね」というご紹介など頂けると、大変嬉しいです。


さて、まずは会社法に関わる仕事をされている方であればたいてい持っているであろうこの一冊。
株式会社法 第3版株式会社法 第3版
(2009/12/21)
江頭 憲治郎

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私が最も好きな芸人さんは江頭2:50さんなのですが、それとこれとは何の関係もありません。
やはりいつも手許に置いておきたい一冊です。
900ページの大部で、会社に持って行ったり持って帰ったりするのはツライので、家と会社に一冊ずつ置いてあります。
そして何か疑問があるときにまず開く一冊です。
この本のことを「エガちゃん」と呼んでいる失礼な法務担当者は、一人や二人でないと思います。
それほど身近な一冊であるとも言えるでしょう(!?)

次にご紹介するのはこれ。
リーガルマインド会社法 第12版リーガルマインド会社法 第12版
(2009/11/30)
弥永 真生

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弥永先生ですね。
この一冊は、他の基本書などに当たってみて、「載ってないなあ・・・」などと呟きながら開いたとき、欲しかった情報がズバリ載っていたりする、不思議な一冊だと私は感じています。
しかもそのような情報はたいてい脚注に載っています。
試しにページをパラパラめくってみて下さい。
脚注のほうが本文よりも幅を利かせているページが目につくことも少なくありません。
そう厚い一冊でもないのですが、法律と会計の世界を自由に行き来される弥永先生の視点は、個人的にとても興味をもっているところです。


会社法入門 第12版会社法入門 第12版
(2009/12/12)
前田 庸

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この一冊も完全に定番だと思いますが、どんどん分厚くなっていく気がしています。気のせいでしょうか。


以上が「とりあえず調べる」というとき、私が最初にパラパラと目を通すお気に入りたちです。ほかにもいくつかありますが、これらに目を通すことでたいていの場合は「なるほどね」と気持ちが落ち着きます。
もちろん特定の分野に徹底して突っ込む必要があるときには、その分野の書籍に当たったり、さらにその書籍の参考文献に遡ったりということをしています。

「弁護士に相談した方が早くね?」という向きもあろうかと思いますが、どうしても自分で調べておく必要がある状況というものが世の中にあることは、何となくご理解頂けるのではないかと思います。
あえてここでは詳しく書きませんが。

さてさらに、当然といえば当然ですが、
会社法コンメンタール〈1〉総則・設立(1)会社法コンメンタール〈1〉総則・設立(1)
(2008/03)
江頭 憲治郎

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このシリーズはやはりとても頼りになります。
そりゃ、コンメンタールですから詳しいですよね。
とはいえ、シリーズを全部揃えていたら、いったいいくらかかるかわかりませんし、私は学者さんや弁護士ではないので、その必要もありません。
どうしても必要だったり、欲しい分野に絞ったりして買うことにしています。


そして今回買ったのがこの一冊。
会社法実務ハンドブック会社法実務ハンドブック
(2010/06)
高野 一郎

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分厚い・・・
1,400ページほどあります。
しかし今回の調べ物に関して、ここまで詳しく、しかもわかり易く書かれている書籍が他に見当たらなかったので、迷わず購入しました。
体重計で量ってみようと思っていてすっかり忘れていましたが、部屋にある鉄アレイと持ち比べてみたところ、どうも3.5キロくらいはありそうです。

この一冊、「実務ハンドブック」というだけあって、一般論に留まらず、具体的に実務上どう対応すべきかまで述べられているところがお役立ち。これから末永いお付き合いをさせて頂く一冊となりそうです。



さてさて、これらはどれも「通読」するような代物ではなく、よほど苦行が好きな方でない限り、企業法務担当者で通読される方は、まあまずいらっしゃらないのではないかと思います。
「では通読できて、会社法の全体像がわかるのはどんな本だ?」
と問われれば、以下のようなものをお薦めしたいと思います。
会社法要説会社法要説
(2010/12/20)
落合 誠一

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この落合先生の薄い一冊は200ページ程度しかありません。


さらには、
会社法 第2版 (LEGAL QUEST)会社法 第2版 (LEGAL QUEST)
(2011/03/25)
伊藤 靖史、大杉 謙一 他

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ご存知、伊藤先生と大杉先生の通称「リークエ」ですね。
この一冊を一気に読んでおけば、会社法の全体像をある程度の深さをもって知ることができるのではないかと思います。
ちなみに最近第2版が出ています。


「会社法を勉強したいけど、どれも難しそうだなあ・・・」と、1,200円くらいで「サルでもわかる」系の本を次から次に買われる方を何人か見てきましたが、やはり一度はある程度「骨のある一冊」をきっちり読んでおく必要があると思っています。
これはもちろん会社法に限ったことではないのですが、少なくとも会社法に関しては最後にご紹介した2冊あたりをお薦めしたいと思います。

あと、図表が好きな方であれば、
会社法マスター115講座会社法マスター115講座
(2009/04)
不明

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この一冊もいいかも知れません。
左ページが文章で、右ページが図表というスタイルが徹底されています。



--------------(6月4日追記)
本エントリーには Twitter でも多くのコメントを頂いたのですが、「この本を忘れちゃ困る!」といわんばかりの勢いで、いろいろな方からお薦め頂いたのが、この一冊。

アドバンス 新会社法アドバンス 新会社法
(2010/09)
長島大野常松法律事務所

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長島・大野・常松法律事務所の本だけあってとても実践的な内容なので、私もよく参考にさせて頂いています。
お値段は張りますが、手許にあると心強い一冊であることは間違いありません。
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「企業法務マンサバイバル」のtacさんの「法務の仕事とは何か」というエントリーを拝読し、企業法務の経験や知識ではtacさんの足許にも及ばないことは重々承知のうえで、私も思うところを書いておきたいと思います。

商事法務1913号の、「アパマンショップ株主代表訴訟最高裁判決の意義」と題する落合誠一先生の論考において、「経営判断原則」に関する落合先生の考えが語られています。
もちろんtacさんのエントリーとは全く異なる文脈で語られているものではあるのですが、「法務の仕事とは何か」を考えるにあたり参考になるのではないかと思いますので、少々長いのですが引用したいと思います。


弁護士は、法律の専門家であるが、ビジネスの専門家ではないから、ビジネスの常識に基づき決定されるべき買取価格の相当性は、経営者が判断すべき事柄であり、弁護士が判断すべきことではない。それゆえに本件弁護士は、正当にも、加盟店との関係を良好に保つ必要性が経営上あるか否か、またその必要性との見合いにより決めるべき買取価格は、経営者の判断すべきことであるとして、その点に関する自己の判断を示すのを避けているのである。これは、経験あるビジネス・ロイヤーであれば、いわば当然の対応であり、経営者の判断に任せるべき事項(ビジネスの常識が必要な判断)については、経営の専門家でもない弁護士が自己の個人的な見解を表明することは決してしないはずだからである。なまじ素人見解を示せば、かえって経営者の経営判断に悪い影響を与えかねないからである。要するに、ビジネスの常識が必要な判断事項は、経営者に委ねるのが適切であり、これこそが、経験あるビジネス・ロイヤーとしてのとるべき行動であると判断される。



落合先生は「ビジネス」という言葉と「経営」という言葉を使い分けていらっしゃいますが、乱暴にもこの「ビジネス」という言葉を全て「経営」という言葉に置き換え、さらに、「弁護士」という言葉を「法務担当者」という言葉に置き換えてみます。
そうすると「サポーティング・アクター」として法務担当者の果たすべき最低限の役割を表現した文章として読めるように思います。

そして問題は、社外の弁護士ではなく、社内の法務担当者として、この最低限の役割からどこまで踏み込むか、です。
この問題は、会社の規模や経営者が法務部に期待する役割によって、若干異なってくるのではないかとは思います。
しかし社外の人間ではなく社内の人間としては、「ちょっとでしゃばる」くらいでないと、存在意義がなくなってしまうのではないかというのが、現時点での私の考えです。

「ちょっとでしゃばる」というのは具体的には、
選択肢をできる限り絞り込んだうえで、それぞれのメリット・デメリットやリスクについて説明し、さらに「このような理由から、私はこの選択肢が妥当だと思います」というところまで踏み込む、つまり自分の意見を明確に伝えることです。
最終的には「経営判断」に委ねられることとなるにしても、社内の人間としての意見を、法的な側面から検証したうえで行うことが、「法務の仕事」として必要なのではないかと思うわけです。
この点、社外の弁護士は、実際にそのような判断ができるかどうかにかかわらず、「客観的である」と第三者から評価されるだけの意見に留めておく必要があるのではないかと思います。

つまり、社外の弁護士と社内の法務担当者では、そもそも求められている役割が異なっているはずなので、ここは分けて考える必要があると思うのですね。


ところで現在株式会社ミスミグループ本社のCEOである三枝匡さんの著書、「V字回復の経営」に以下のような言葉がでてきます。


「赤坂三郎はできる男だ。どんどん前に出るし、緻密でもある。間違いなくこれからの経営者タイプだ」


どんどん前に出る、つまり「でしゃばる」ことはリスクを取ることにも通じますが、組織で働く一人の会社員としてはそのようなリスクを取ることも必要なのではないかと思います。(もちろん会社のリスクを低減させることとは別の話です)
そしてその前提として、「緻密である」ことも必要です。この「緻密である」ことは法務担当者としては絶対的に必要な条件で、これをすっとばすとtacさんのおっしゃる、「経験だけで「それは無理」「こうすべきである」とやっている法務パーソン」に成り下がってしまうのでしょう。



ところでまたしても話が飛びますが、「NBL」926号から932号にわたる芦原一郎弁護士の「法務部の機能論と組織論―社内弁護士活用のために」と題する論考に、私は少々違和感を感じていました。
ご存知のとおり、芦原弁護士は「社内弁護士」として、いくつかの会社で活躍され、社内弁護士の役割についてもいろいろなところで考えを発信していらっしゃいます。
しかし私が感じる違和感というのは、芦原弁護士が「ビジネス側」と「法務部」というように、あたかも法務部はビジネスを行っていないかのような表現をされていることです。

私の考えとしては、法務担当者は自社の法律に関わる業務を担当しているわけではありますが、それも当然に自社のビジネスの一部です。
そして自社のビジネスを他部門や経営陣とともに行っているというものです。少なくとも私は自分のやっていることは「ビジネス」だと考えています。
ですから「ビジネス側」と「法務部」と分けて考えるのは、社内ではなく社外の人の発想だと思うわけですね。
そして私たち法務担当者は当然社内の人間ですから、社外の弁護士とは異なる役割を担っているわけです。


このようにつらつらと考えてみると、tacさんが紹介されている野村晋右先生の以下の言葉、


最終的に経営判断に委ねるにしても、事実関係を十分に調査しそれをベースに、法的分析・検討をギリギリまで進めること、そして、できる限り選択肢を狭くしかつ選択の材料を簡潔に判断者に対して提示することが重要である。


これは確かにそうなのだろうと思います。
しかし私としては、ここからあと一歩進んで、「どの選択肢が妥当であるかについて意見を述べる」ところまで行うのが、社内の法務担当者として必要なのではないかと思っています。
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