ホウレンソウはいらない!―ガラパゴス上司にならないための10の法則ホウレンソウはいらない!―ガラパゴス上司にならないための10の法則
(2011/11/10)
本田 直之

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何だか久しぶりに本田直之さんの本を読んだように思います。
相変わらず「スー」っと読めてしまう、読みやすい文体・リズムで書かれているので、ついつい「スー」っと読み飛ばしてしまいそうになります。

ここ数年、「仕事術」といった類の本は全く読まなくなっていたのですが、「あっ、本田直之さんの本が出てる」と、本屋で何気なく手に取ってパラパラと眺めていたところ、

契約書管理

という項目が目にとまり、「法務担当者としては読まざるを得ないだろう」と思い、買ってみた次第です。


さて、例によって目次の一部を抜粋したいと思います。


CHAPTER1 ガラパゴスマネージャーになるな!
コミュニケーションギャップ
ITの進化

CHAPTER2 変化の時代―マネージャーのサバイバル・スキル
1 非クリエイティブ仕事術
2 コミュニケーション術
3 IT活用術

CHAPTER3 フレームワーク仕事術への進化

CHAPTER4 フレームワーク仕事術のメリット
1 チームマネジメント力がアップする
2 進捗管理(フレームワーク化)が簡単になる
3 ノウハウ蓄積が容易にできる
4 効率化が進む

CHAPTER5 クラウドでフレームワークを実践する
1 クレーム処理
2 商談進捗管理
3 契約書管理
4 チームでの制作物作成
5 イベントのToDoリスト
6 問題解決データベース

本書で挙げた仕事の問題を解決するためのソフトウェア&システム
ガラパゴス上司になるための10の法則



本書の特色は、「CHAPTER5 クラウドでフレームワークを実践する」にあるかと思いますし、CHAPTER4までの記述もそこに行きつくための布石であるように見受けられます。

そのCHAPTER5では、6つの「仕事の問題」が挙げられていて、それを解決するための「クラウドサービスの活用例」といったものが紹介されています。
しかしこの部分は、人によって、あるいは状況によっては何らかのヒントが得られるかも知れませんが、かなり唐突な印象を受けました。
「そんな活用例を挙げられても、業務フローの変更を伴うクラウドサービスの導入を、たいていの会社ではそう簡単に決められないぞ」という、違和感のようなものです。
またCHAPTER5の後に続く、「本書で挙げた仕事の問題を解決するためのソフトウェア&システム」というところで、いくつかのソフトウェアが紹介されているので、「ああ、ちゃんと親切に紹介してくれているんだな」と、ちょっと安心するのですが、実際に紹介されているのはプロジェクト管理のためのソフトウェアやサイボウズといったグループウェアばかりで、ある程度の規模の会社になると、気軽にスイッチするわけにもいかないのではないかと思います。

また、6つの問題を解決するためのクラウドサービスの活用例は、それぞれ自社にとって使いやすいようにカスタマイズされたものが前提になっているようですが、それであれば紹介されているようなソフトウェアではなく、何かしら開発作業の発生するソフトウェアが必要になってくるのではないかと思い、「いっそのことAccessで作っちゃったほうが安くて早いんではないだろうか」と思ったりします。
(もちろん考え方や利用法は十分参考になるとは思います)

そのようなわけで、契約書管理の項目も、残念ながら法務担当者の視点からすると「うーん」と首をかしげざるを得ない内容でした。(残念!)


しかし、

そこは本田直之さん。
CHAPTER5のおかげで、本書のターゲットが今一つよくわからないことになってしまっているものの、そこに至るまでの内容はやはりなかなか面白いものです。

30代から40代のプレイングマネージャー(私もそう)が、いかに効率的にチームを動かし、よりクリエイティブな仕事に取り組む時間を確保するか、ということについて、ITの活用という切り口から述べられています。
この点は私も「いかにして考える時間を確保するか」ということを常に意識しているだけに、とても興味深いものでした。
さらには、ほんの数年前までは効率的なITの活用法として認識されていたものが、既に陳腐化しているのだよ、ということを教えてくれています。
このような記述をヒントに、自分でしっかり考えたり試したりしていくことが必要なのだと思います。

そういえば、
なぜか、「仕事がうまくいく人」の習慣 4.0
では、
「仕事の効率を上げるための仕事に取り組もう」
と、定期的に自分の仕事のやり方を改善する時間を設けることの必要性が提唱されていましたが、やはり「これでOK」と安心しきることなく、個人レベルでも組織レベルでも、不断の業務改善を続けていくことがいかに重要であるか、ということを再認識した次第です。