※ 本エントリーは7月6日に書いたものですが、諸般の事情(UPし忘れていました!)により7月19日にUPしました


今日(2016年7月6日)の日本経済新聞朝刊の一面にドーンと、

遺産相続 手続き簡素化 戸籍情報、証明書1通に   法務省」

と題する記事が出ていました。


曰く、
法務省は5日、遺産相続…の手続きを簡素化するため、相続人全員の氏名や本籍地などの戸籍関係の情報が記載された証明書を来春から発行すると発表した。

「それは画期的だな」などとと思いつつ読み進めると、以下のような説明が続いていました。
これまでは不動産や預金などを相続する場合、地方の法務局や銀行にそれぞれ全員分の戸籍関連の書類を提出しなくてはならなかった。今後は必要書類を一度集めて法務局に提出すれば、証明書1通で済む。

決してウソではありませんが、誤解を招きかねない説明だなと思い、本Blog で採りあげてみることにしました。



さて、同じ日経の経済面では、もう少し落ち着いたトーンでこの話題に触れられています。
法務省が相続手続きの簡素化を決め「素人には至難の業」(相続診断協会の小川実代表理事)とされてきた相続人の負担はある程度軽くなる。ただ、相続で最も面倒な戸籍集めの作業は残る。マイナンバーを戸籍に適用するなどして、さらに手続きを簡素化する必要がある。

「至難の業」とまでいうかどうかは別として、結局はいったん被相続人と相続人の戸籍や住民票を集めなければいけないことに変わりはないのですね。
※手書きの古い戸籍などは見慣れていないと読めないことが多々あるので、そういう意味では確かに「至難の業」という表現がぴったりではあります 



で、結局のところ今回の「簡素化」というのは、概ね以下のようなもののようです。
不動産の相続登記の際に法務局に資料一式を提出すると「証明書」が発行され、管轄の異なる他の法務局での同様の手続きの際に、その「証明書」が使える。
また、金融機関の口座からお金をおろしたりするときにもその「証明書」が使える。


とはいえこれまでも、戸籍や住民票をせっせと集める作業が終われば、相続登記のために法務局にそれらを提出するときに「原本還付」という手続きをすることによって、戸籍や住民票の原本は返してもらえていたので、今回の「簡素化」によって私たち利用者側の利便性が画期的に上がるということは実感しづらいように思います。

確かに金融機関によっては、「コピーではなく原本をください!」というところもあるので、それに備えて同じ戸籍を複数部集める必要に迫られた場合などに、この「証明書」は便利かも知れません。

しかしやはり私の知る範囲では、不動産の相続登記よりも金融機関から現金を引き出すことを優先することのほうが多いように思うので、「証明書」がもう少し早いタイミングでもらえたほうが格段に便利だろうと思います。

もっといえば、相続登記の申請と関係なく「証明書」が発行されるようになれば、私たち利用者側にとっての利便性は大きく向上するのではないでしょうか。


そんなことをつらつらと考えてみると、今回の「証明書」に恩恵があるとすれば、それにあずかれるのは、
不動産を異なるところに複数所有している人の相続人
くらいでないかと思うわけです。
ま、当たり前ではありますが。


あとはせいぜい金融機関から現金を引き出すときに、「証明書があればちょっとラクかも知れないね」という程度でしょうか。
もちろん法務局や金融機関にとっては、「証明書」があればいちいち戸籍を解読していく必要がなくなるので、業務負荷の軽減という大きなメリットは得られるだろうと思います。


さてさて、すっかり長くなってしまいましたが、
個人的には、先ほど引用した一文のうち、
マイナンバーを戸籍に適用するなどして、さらに手続きを簡素化する必要がある。
この、「何でもマイナンバー」的な方向にいくことが(毎度ながら)気になります。


例えば、
東京の土地家屋の相続登記をする際に「証明書」を発行してもらい、地方の土地家屋の相続登記をする際にこの「証明書」を法務局に提出し、さらに金融機関からお金を引き出す際に同じくこの「証明書」を提出すると、亡くなった方の財産をかなり簡単に国が把握できるようになるよな、と思うわけです。


以上、「今年は更新しますからね」と宣言してから5か月。
Twitter やFacebook で細切れにつぶやくのではなく、Blog にまとめればいいんじゃね?とあらためて思う2016年の初夏でした。