風にころがる企業ホーマー

企業法務や経営に関することについて、情報発信していきまーす!

カテゴリ: 書籍(法務関連)

はい!皆さんこんにちは!

いま、日本全国老若男女を問わず話題沸騰中の法務系Tips Advent Calendarのバトンを、企業法務マンサバイバルのはっしーさんから受け取りました。

はっしーさんからは、

というわけで、@caracalooさんから引き継いだ法務系Tips Advent Calendarバトンを、伝説の法務系ダブルボケ漫才コンビ「カタアンドヒロ」のヒロこと @hiro_oceanにお渡しします。

と、身に余るような言葉でご紹介頂いており恐縮していますが、ひとつだけ誤解のないように言っておくと、ボケているのは@kataxさんだけです。僕は正気です。

さて、あまりに久しぶりのBlog更新なので「引用ってどうやるんだっけ?」「リンクはどうすんだっけ?」などといちいち操作に戸惑いながら書いてます。リハビリみたいなものなので内容は二の次です。もともと内容は二の次ですが、そこは無視してください。

ということで本題に入りまーす!

ここ半年ほど、訳あって著作権に関するセミナー講師をする機会に多く恵まれています。
対象は、「著作権という言葉を知っている程度」という方から「仕事で必要に迫られて断片的に知識を身につけた」というような方が中心です。

その中で何度か、「もう少し著作権のことを勉強したいのだけど、おすすめの本はありますか?」というような質問を受けてきました。

僕自身、著作権に関して特別熱心に勉強してきたというわけでもなく、個人的な興味で本を読んだり、仕事で必要な範囲+α(Blogのおかげで「+α」を人より大きくしようというモチベーションが大きかったとは思います)を身につけてきたという程度のものでした。
そんなわけでこの半年ちょっとのあいだ、かなりの量の著作権に関する本を買いあさって目をとおしてきました。

で、「あ〜、これは入門書としてなかなかいいんでないの!?」と思うような本にも出会ってきました。
異論も多くあるかと思いますが、この本はその一冊。

クリエイターのための著作権入門講座[改訂第2版]クリエイターのための著作権入門講座[改訂第2版]
(2013/08/10)
一般社団法人 コンピュータソフトウェア著作権協会

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法務系Tips Advent Calendarに参加されている皆さんからすると、簡単すぎて退屈な部類に入るかも知れませんが、「法務担当者だけど、実は今ひとつ著作権のことわかってないんだよね」というような方に是非お薦めしたい一冊です。
(いますよね?そんな方!ね?ね?お願いだから「いる」と言ってください!)

お薦めのポイントは、まず何といっても理解しやすい文章で書かれていること。とはいえ、ほどよい幅と深さのある内容なので全体像を把握しつつ最低限の知識が得られること請け合い。そして2013年8月に改訂されたばかり!
待てど暮らせど改訂されない某判例集にも見習ってほしいものです。

ということで「これからちょいと勉強しようかな」という向きにお薦めするなら、今はこの本かなと思っています。
ちなみに改訂前のものが本文159ページで改訂後が同170ページ。値段は変わらず1,900円+税とお財布にもやさしい。
法務担当者などでこの手の本を読みなれている方であれば、それこそあっという間に読める程度の厚さです。


TPPでの議論も盛り上がってきたこの時期、法務系Tips Advent Calendarのカウントダウンに合わせて年末までにコソ勉するのにいかがでしょうか。

以上、何となくお茶を濁しました何となくうまくまとまりました!
これが「Tips」と言えるかは微妙ですが、まぁいいではないですか!
明日は@jun_k00さんですね。
バトンをお渡ししまーす!

(これを機会にBlogの更新もがんばります)
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Lexis Nexis さんから頂戴しました。ありがとうございます。


暴力団排除条例ガイドブック (BUSINESS LAW JOURNAL BOOKS)暴力団排除条例ガイドブック (BUSINESS LAW JOURNAL BOOKS)
(2011/12/22)
大井哲也、黒川浩一 他

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タイトルこそ、「暴力団排除条例ガイドブック」となっていますが、本の帯(amazon のイメージにないのが残念)にあるコピー、"反社会的勢力排除のバイブル"という言葉がピッタリの、まさにバイブル的な一冊です。


私は当初、業務上の必要から暴排条項(反社条項)を検討するため、反社会的勢力排除に関する書籍や論考に目を通していたのですが、いつの間にか個人的な興味からBlog記事を多く書いていました。
(ご興味のある方は、本エントリの末尾にリンクをまとめておいたのでご笑覧ください)

そして気づくと自室の本棚には10冊を超える類書が…(笑)
しかし本書は、東京都暴力団排除条例が施行された後に発売された数少ない反社排除に関する本であるとともに、これまでに世に出ている類書のうち最も実践的な一冊と言えるのではないかと思います。
この本を頂いたのは発売されて間もなくだったので、取り急ぎ感想を書こうと思っていたのですが、あまりに面白い内容だったのできっちり読みこんでいるうちに、感想を書くのがすっかり遅くなってしまいました。


さて、例によって目次の一部を抜粋します。


第1章 反社会的勢力の侵入手口と企業の対応
Ⅰ 最近の反社会的勢力排除の動向
Ⅱ 企業への反社会的勢力の侵入(関与)事例
Ⅲ 反社会的勢力排除の内部統制システム

第2章 反社会的勢力のチェック方法
Ⅰ どこまでを反社会的勢力とするのか
Ⅱ 反社チェックのポイント

第3章 暴排条項の導入
Ⅰ なぜ暴排条項が必要なのか
Ⅱ 暴排条項導入の留意点
Ⅲ 暴排条項のバリエーション

第4章 契約の拒絶・解除の実務
Ⅰ 契約締結前の取引拒絶
Ⅱ 契約締結後の解除の法的リスク
Ⅲ 既存取引先との関係解消の実務

第5章 海外の反社会的勢力
Ⅰ グローバルな要請に関する最近の動向
Ⅱ 海外反社排除の取り組み方
Ⅲ 海外反社対応のための英文版誓約書・暴排条項

第6章 雇用関係等からの反社会的勢力排除
Ⅰ 従業員に対する属性確認義務
Ⅱ 従業員が反社会的勢力に該当する場合の対応
Ⅲ 業務委託スタッフの場合

第7章 上場審査の実務及び出資者・株主への対応
Ⅰ 上場審査を受ける場合
Ⅱ 反社会的勢力との関係発覚による上場廃止
Ⅲ 出資者・株主への対応

第8章 暴力団排除条例の解説
Ⅰ 条例制定の背景と経緯
Ⅱ 条例の主な規定
Ⅲ 条例制定の狙い
Ⅳ 暴力団に対する利益供与の禁止規定の解説
Ⅴ 暴力団に対する名義貸しの禁止
Ⅵ 暴力団との密接交際
Ⅶ 公共事業からの暴力団排除
Ⅷ 民間事業からの暴力団排除
Ⅸ 不動産取引からの暴力団排除
Ⅹ 暴力団の威力利用そのものの禁止
Ⅺ 福岡県条例の改正
Ⅻ まとめ

資料
各都道府県の暴力団排除条例における特徴的な規定



第2章のうち「反社チェックのポイント」には実に62ページが割かれています。
ここには「最低限必要な取組み」といったことから、反社チェックの深度に応じた調査項目の例、さらにはチェックリストから取引先管理台帳のサンプルまで、これでもかといわんばかりに現場で役立つ情報が紹介されています。
そしてこの「サンプルをバンバン出す」というスタンスは、最後まで貫かれています。

次に第3章の「暴排条項のバリエーション」も、あるべき論に留まらないところがお役立ちです。
最高水準の暴排条項~一般的水準の暴排条項~簡易版の暴排条項、さらに取組みが進んでいる業界の暴排条項例などのサンプルが提示されているので、自社の業種やスタンス、或いは取引の相手方との関係を考慮しながら、自社に最適な暴排条項を考えてみる素材として最適だと思います。
実際に私も自社の暴排条項を、このサンプルを参考に少し修正しました。

さらに第5章、海外の反社会的勢力。ここは私がとても興味をもっているところでもあり、英文版の暴排条項など、他ではなかなかお目にかかれないような書式を見ることができます。
少なくとも私が英文契約書に暴排条項を入れ始めた頃は、日本語の暴排条項を単純に英訳した程度のものしか作れなかったので、「あのときにこんなサンプルがあったらなぁ…」と思わずにはいられません。
もちろんこのサンプルを参考に、早速英文契約書の暴排条項も修正しました。

そして圧巻は、「企業法務戦士の雑感」さんでも触れられていた、巻末資料「各都道府県の暴力団排除条例における特徴的な規定」という、全都道府県の暴排条例の一覧。
単純に資料として興味深いのはもちろん、全国規模で事業を展開されている会社(まぁ、まずほとんどの会社さんが該当するのではないかと思います)の法務担当者としては、都道府県によってそう大きな違いはないとはいえ、特徴のある条例(例えば福岡県)については、概要を知っておく必要があるものと思います。
先日、埼玉県の会社が東京都暴力団排除条例の適用を受けていましたが、つまり「ウチの会社は東京だから東京都の条例だけ見とく」では、ちょっと認識が甘いと言わざるを得ないわけです。


その他にもいろいろと紹介したいところはあるのですが、長くなり過ぎるのでこの辺で。
何はともあれ、現時点で最も実践的な内容の「反社本」として自信を持ってお薦めします。


最後にこれは私見ですが、ある程度の規模の会社であれば何かしらの対応は既にされているものと思います(されていなければ、急ぎ対応する必要があります)。しかしながら会社によっては法務担当者がおらず、総務担当者が片手間に契約書を見ていたりしていて、「暴排条例が施行されたって聞いたけど、何をすればいいのかよくわからない」というケースも多いのではないかと思います。
本書は、そのような方にとっても「バイブル」として十分に活用できる親切な作りになっていると思うので、是非一度手に取って頂ければと思います。


ちなみに本書は、「dtk's blog」さん、「企業法務マンサバイバル」でも紹介されているので、違う切り口の書評も参考にしてみてください。


遅ればせながら、今年もよろしくお願いします。



【過去記事】
暴力団排除条項について考えてみた。(前半戦)
暴力団排除条項について考えてみた。(後半戦)
暴力団排除条項について考えてみた。(延長戦)
反社会的勢力対応のいま ―金融法務事情1901号より
東京都暴力団排除条例の施行と暴排条項 前半戦
東京都暴力団排除条例の施行と暴排条項 後半戦

【おまけ】
府中市暴力団排除条例
第12条が府中市ならではです。
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「企業法務マンサバイバル」のtac さんが10月21日に紹介されて、「dtk's blog」のdtk さんが10月25日に紹介されて、さらに11月1日には「企業法務について」のkata さんが紹介されていたこの本。


クラウドと法 (KINZAIバリュー叢書)クラウドと法 (KINZAIバリュー叢書)
(2011/10)
近藤 浩、松本 慶 他

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今さら何なのですが、コソっと私も感想など書いてみようと思います。
とはいえ既にお三方がそれぞれの視点からレビューされているので、私の感想を読んだからといって何か新しい発見があるわけでもないでしょう。
また、斬新な切り口でブッタ切る、というようなことも私にはできません。
ただ、「面白かったからやっぱ感想を書いとこ」というだけのことです。すみません。


さて、例によって目次の紹介です。
「そんなん、Amazon で見ればいいんじゃね?」という向きもあるかも知れませんが、あえてこの場で「私が紹介したいように」引用するのです。


第1章 はじめに
1 クラウドとは何ですか
2 クラウドの歴史・背景
3 クラウドにはどのような種類がありますか
4 クラウドのメリット・デメリット
5 最近の動き
6 東日本大震災を受けて

第2章 クラウド導入のモデルケース
(略)

第3章 情報セキュリティ
1 情報セキュリティ上、どのような問題がありますか
2 経済産業省のガイドライン
3 事故があったら、クラウドのサービス事業者にどのような責任が発生しますか
4 自己があったら、クラウドサービスを利用する事業者にはどのような責任が発生しますか
5 情報セキュリティ事故の際の取締役の責任

第4章 個人情報保護法等
1 個人情報保護法とはどのような法律でしょうか
(略)

第5章 コーポレートガバナンスとの関係
1 担当者や取締役はどのようなことに気をつければよいでしょうか
(略)
3 クラウドの導入と取締役の責任
4 e文書について

第6章 クラウドの国際性と法
1 外国の公権力によるデータの取得、差止命令など
  (1)米国愛国者法
(2) EUデータ保護指令
2 管轄や準拠法の問題
3 クラウドとeディスカバリ

第7章 知的財産権
1 著作権の問題
2 知的財産権の侵害に基づく差止めの問題
3 いわゆるオープンソースソフトウェア
4 クラウドと営業秘密

第8章 クラウドのサービス事業者との契約
1 クラウドのサービス事業者との契約では、どのようなことに注意すべきでしょうか
2 契約の内容ではどこに注意すればよいでしょうか
(1) SLA
  (2) クラウドのサービス事業者の責任制限
  (3) 情報セキュリティ、秘密保持、プライバシー
  (4) 再委託
  (5) サービス停止時の対応
  (6) 契約終了時のデータの取扱い
  (7) 準拠法
  (8) 管轄
  (9) その他
  (10) 参考となる資料等

第9章 クラウドのサービス事業者のリスクや責任
1 クラウドのサービス事業者に対する規制
  (1) 電気通信事業法
(2) 個人情報保護法
(3) 建築関係
2 クラウドサービスの利用者に対する責任
3 第三者に対する責任
(略)
(3) プロバイダー責任制限法

第10章 大震災とクラウド
(略)

第11章 クラウドの推進へ向かって



思いのほか長くなってしまいました。

しかし上記の目次を眺めてみて、あらためて感じるのはその網羅性の高さ。
tac さんが仰っている、


「~法務パーソンが気付きにくい・忘れがちなリスクがもっとあるんじゃないの?」という不安を抱えている状態だと思います。この本は、その「セキュリティ以外のクラウドリスクいろいろ」に対する不安をもきれいに解消してくれる本なのです。


という指摘に私も同感なのですが、本書を読むことを通じて、自社がクラウドサービスを提供している/提供されている場合に、どのようなことが問題となり得るのか、網羅的に確認することができるのではないかと思います。

そして確認して気になる点があれば、その方面のもう少し詳しい書籍にあたってみる、という利用の仕方が最適なのではないかと思います。

つまり法務担当者にとっては、法務業務とクラウドの関わりについての入門書として最適ですし、経営者やシステム担当の方などにとっては、クラウドに関する法律を概観するために最適な一冊といえるのではないでしょうか。


ところで先日ご紹介した本田直之さんの本でも「クラウドの有効活用法」というべきものにかなり紙幅がとられていましたが、どうも「クラウド」という言葉の輪郭がぼんやりしていて、個人レベルで利用するメールサービスから会社の業務フローシステムまでをまとめて論じられることにちょっとした違和感を感じていました。

この点に関して本書は、ターゲットが企業(法務)ということが明確ですので、そのような違和感はあまり感じずに済みました。
著者が弁護士ということもあり、第1章で「クラウド」の定義をいくつか紹介したうえで、


共有化されたコンピュータリソース(サーバ、ストレージ、アプリケーション等)について、利用者の要求に応じて適宜・適切に配分し、ネットワークを通じて提供することを可能とする情報処理形態


という経済産業省の定義を採用することがはじめに宣言されています。
やはりこのあたりを押さえておいてもらえると安心しますね。

とはいえやはり、まだまだ「クラウド」というと、kata さんが指摘されるように、


クラウドは、海外のデータセンターに情報を預けることとイコールではないし、(略)海外のデータセンターに情報を預けることで発生するリスクを「クラウドのリスク」ということには強烈な違和感を覚える


というような点で、やはり輪郭がぼんやりしてしまう点は見受けられます。
また、


クラウドのサービス事業者は、IT業界の大手で、技術力も高いと考えられます。


という本文の記載からも、「日本の小さなクラウドサービス事業者は想定していないのか?」とちょっと戸惑ったりもしました。

とはいえ、クラウドサービスを提供する企業/提供される企業それぞれにとって、この一冊を取っ掛かりに「どのようなリスクが考えられるのか」を見直してみることは、とても有用だと思います。

さらに契約を締結する段階で確認・検討すべき事項もある程度の網羅性をもって記されているので、一度はここにも目を通しておきたいところです。


そのようなわけで、予告通り何ら新しい視点はないのですが、感想を書いてみました。
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「企業法務マンサバイバル」のtacさんが紹介されていたこの本。

会社法施行5年 理論と実務の現状と課題 (ジュリスト増刊)会社法施行5年 理論と実務の現状と課題 (ジュリスト増刊)
(2011/05/26)
不明

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この5年間で発生した会社法の時事ネタのうち、特に重要なものが論点ごとにまとめられている本なわけです。教科書を最初から最後まで通読する学習では絶対挫折する会社法も、このアプローチだとリアリティがぐっと増すからでしょうか、途端に面白い法律に見えるから不思議です。



と紹介されていて、もはや私ごときがウダウダとご紹介する意味もないと思っていた次第です。
そこで今回は、思いのほか話題になっておらず、またリアル書店での取扱いも少し冷たいのではないかという印象を受ける類書をご紹介したいと思います。

会社法新判例 50 (ジュリストブックス)会社法新判例 50 (ジュリストブックス)
(2011/07/27)
弥永 真生

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ご存知、弥永真生先生の判例解説です。
ほぼ時期を同じくして有斐閣さんから出版されているのですが、いくつかのリアル書店をまわってみたところ、都心の大規模書店でも売切れているのか置いていないのか、なかなか見当たりませんでした。
「さすがにここにはないだろう」と思いながら寄ってみた近所の本屋に並んでいて、驚きつつ即買いしました。

さて、上記「会社法施行5年 理論と実務の現状と課題」(長いので以下「ムックのほう」といいます)が、有斐閣のHPをご覧頂けばわかるように、

Ⅰ コーポレート・ガバナンス
Ⅱ 資金調達
Ⅲ M&A,組織再編
Ⅳ 株券電子化と会社法
Ⅴ 会計制度と会社法

と、テーマをいくつかに分けたうえで、25個の裁判例を弁護士や学者の先生方がそれぞれ分担して解説されているのに対し、「会社法 新判例50」(紛らわしいので以下「弥永先生のほう」といいます)は、そのような明確な区分をせず、50個の裁判例の全てを(当然ですが)弥永先生が解説されているところが大きな違いです。


本書は、平成20年7月(1359号)から平成22年にかけて、ジュリストに「会社法判例速報」として連載させていただいたものの中から50件の裁判例を選択し、若干の加筆を加え、とりわけ、その後の帰趨をフォローしたものです。



とはしがきにあるように、「ムックのほう」よりカバーしている期間は2年程度短いものの、そのぶん「おっ!」と思うような裁判例が掲載されていたりします。
この点は「ムックのほう」が、会社法が施行されて5年経ったところで、実務的な視点からここらでいったん振り返ってみよう、というスタンス(だと思う)に対して、「弥永先生のほう」は、淡々と連載されてきたものの中から重要性の高いものをピックアップするというスタンス(だと思う)の違いだと思います。

そのため一見すると、「似たような本が同じ時期に出て、どっちを読もうか迷ってしまいます」ということになってしまうかも知れません。
しかしtacさんの、


世の中を騒がせた会社法関連事件を後からまとめて俯瞰できる文献というのもそうそうなく、そういう意味でも価値ある本



というご指摘のとおり、この5年間の会社法にまつわる事件を総ざらいするには「ムックのほう」が適当かと思います。
しかしながら、「もう少し踏み込んだところまでカバーしたい」「商事法務を読むとワクワクする」というような方には「弥永先生のほう」をお薦めしたいと思います。
とはいえ、そのような方はおそらく両方買うのでしょうね。

ちなみに個人的には、このBlogでも何度か触れていますように、私は弥永先生の切り口が好きなので、「弥永先生のほう」もハズせません。
amazonの解説では物足りないと思いますので、ご興味のある方は有斐閣のHP(コチラ)をご覧ください。
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D1-Law nano 判例20000 2011 Edition (重要判例20,000件超を収録したUSBメモリー!)D1-Law nano 判例20000 2011 Edition (重要判例20,000件超を収録したUSBメモリー!)
(2011/04/01)
不明

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何ともありがたいことに、この商品を第一法規さんから頂きました。
第一法規の皆様にはこの場を借りてお礼申しあげます。ありがとうございます。

さて既に、この商品については「企業法務マンサバイバル」のtacさんや、「dtk's blog」のdtkさんなどが詳しく紹介されているので、私ごときがコメントする意味はあまりないようにも思いますが、あえてそのようなことはお構いなしで感想など書いてみたいと思います。


そもそもこのUSB判例データベース、2010年に発売されたときに、私は個人的に購入しようかどうか迷っていました。
というのも、ASP型の判例データベースを提供されている会社はいくつかありますが、いずれもいかんせん"高い"というのが正直な感想。
弁護士事務所や学者さんであれば、コストに見合うだけの利用をされるのかも知れませんが、私のように小規模な法務部門で働く人間がそこまでバンバン使うこともないだろうと考え、判例データベースの導入は見送っていました。

そのような経緯もあり、判例データベースについては裁判所の判例検索システムを必要であれば利用するという程度に留めていたわけです。
さてそんな折、USBの判例データベースが第一法規さんから発売されたことを知って、「これなら自腹で買ってもいいかな」と考えていたわけです。
しかしそうはいっても21,000円します。
買ってみてから「使えないなあ」と簡単に放り出すには少々痛い金額です。
また「重要判例20,000件超を収録」と言われても、20,000件がどの程度のものなのか、つまり実務上裁判例にあたってみるときに事足りる件数なのかどうか、今ひとつピンときませんでした。
そしてそうこうしているうちに、2011年版が発売されたわけです。


ところで少し話は変わりますが、「経営戦略―論理性・創造性・社会性の追求」 という本に、以下のような一節があります。


ベンチャー企業の特徴は、その成長過程において、リスクを冒しながら、なおかつそのリスクを減少させようとするという「リスク・パラドックス」に常に直面していることである。そのリスクをいかにマネジメントしていくのかは、ベンチャー企業の成長にとって本質的な問題と言える。



決してベンチャー企業だけに限られる話ではないでしょうが、全く新しい事業や取組みを行うにあたり、この、「リスク・パラドックス」は、個人的にまさしく日々直面している問題でもあります。
そしてそのような事業や取組みのスキームを作る段階から、法令違反がないか、或いはどのような手当てをしておく必要があるかなど、いろいろな文献にあたって調べることが、案外日常的にあります。
もちろんそのようなときには顧問弁護士の意見を聞いたりもするのですが、保守的な回答しか得られないこともよくあります。
特に多いのが、「このようなリスクがあるのでこのような対応をしておくことが望ましい」というような回答。そしてその、「このような対応」をした方が安全なのはわかるけど、それができないから頭を使っているのです、という状況になることも珍しくありません。
そんなとき、「この本にこんなことが書いてある」とか「こんな裁判例がある」ということを調べたうえで、スキームを検討し直して再度相談したり、関係するお役所に問題ないかを確認に行ったりする、ということもあります。


だいぶ話が逸れてしまいましたが、時間とお金がふんだんにあるわけでもないベンチャー企業の法務担当者にとって、毎月チャリンチャリンとお金を払う方式ではなく、USBメモリーに入ったデータをバサッと買い取ってしまうこの商品は、非常に魅力的に見えたわけです。
(あとまあやはり個人的にも、「どんなもんじゃろか!?」と、興味は湧きますよね)

ちなみにこの商品の詳細は、本家のHPに記載されていますので、スペックなどの概要はそちらをご覧頂いたほうが早いかと思います。

さて何だかウダウダと書いてきましたが、結局私たち法務担当者にとって一番の問題は、
本当に使えるのか?
という一点にかかってくるものと思います。

そしてこればかりは実際に使ってみないことには、何とも言えないところですが、幸い第一法規さんから頂戴したおかげで、実際に使ってみることができました。

感想。
これ、とてもいいです。

何といっても検索性がいい。
ネット環境がなくても、そしてもちろん回線速度などに関わりなく、ズバっと一瞬で「検索ワード」に関連する裁判例が表示されます。
そして「20,000件ってどうなの!?」という不安もすぐに打ち消されます。最高裁判例はもちろん、下級審の裁判例についても結構な数がヒットしますから。
当然、あらゆる裁判例が網羅されているわけではありませんが、企業法務担当者として「欲しいレベル」は軽々と超えているのではないでしょうか。

例えば「株価」などというテキトーな言葉で検索してみると、以下のように210件がヒットします。

46fbc85a.jpg


検索結果にはもちろん、ここ数年話題となった、レックス・ホールディングス社、サイバードホールディングス社、サンスター社などの価格決定申立て事件に関する、地裁・高裁・最高裁の決定なども表示されています。

そこで試しにサンスター社の価格決定申立て事件の要旨を見てみましょう。

8f68c64e.jpg


キャプチャーでは若干見づらいかも知れませんが、決定の要旨だけでなく、裁判官の名前やこの決定に関する評釈が掲載された雑誌の号数などまで表示されます。
そして画面右端にはこの決定に関係する法令(ここでは会社法第172条)が表示され、ここをクリックするとtacさんが「芋づる式」と表現されているとおり、この規定に関連する裁判例をズラズラと引きずり出すことができます。
この「芋づる」は、非公開会社の価格決定申立て事件など、ややマニア心をくすぐられるものにもつながっているので、「ほほう」などとつぶやきながら、楽しく読んでしまったりします。

さていよいよ本文を見てみましょう。
スクリーンショットの赤で囲った部分をクリックすると、本文が表示されます。

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そしてさらに、「解説」をクリック。

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なんと判例タイムズ社の解説を読むことができます。
この、判例タイムズの解説は全ての裁判例等についているわけではありませんが、第一法規さんが「最重要判例」と判断したものにはついているとのことです。
私がちょっと見てみた限りでは、収録されている解説の件数や割合はわかりませんでしたが、感覚としては「結構掲載されているなあ」という印象を受けました。とはいえ、この印象には当然個人差もあるでしょうから、おまけ程度に考えていたほうがいいかも知れません。


「興味はあるけど使えるものなのかどうか不安だ」という方も結構いらっしゃるものと個人的にニラんでいるこの商品。
理想をいえば一度試しに使って確認したいところだと思いますが、私としては「買って損はない」というか、「是非持っていたい」と感じました。
実際、いつも持ち歩いているPCのインナーケースには、この商品を入れています。

ただ「会社のセキュリティ上USBはノー」という方や、「もっとお手軽に調べたいんじゃ」などという方のためにも、スマホやタブレット向けのアプリとして発売されると歓迎されるのではないかとも思います。

以上、思いつくまま気の向くまま、感想をツラツラと書いてみました。
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