今日、4月25日は尾崎豊の命日です。
亡くなったのは1992年なので、もうかれこれ20年近くが経ったわけです。

僕が福岡から東京に出てきたのも1992年。
1991年の「BIRTH ツアー」福岡公演を3列目だか5列目だかで観て、それから1年も経たないうちに亡くなったことになります。

当時福岡には、いわゆるビッグアーティストといわれるような人は、せいぜい年に1回しか来ませんでした。
そのため例えば「浜田省吾が来る!」などというとチケットを買うために、前夜から並んだり、「ふくおか」というローカル雑誌の売買コーナーでチケットを知らない人から買ったりということをしなければ、なかなかライブに行くこともできませんでした。
ましてや外国人アーティストなどが来ることはありませんでした。
高校3年生のとき、推薦で大学入学が決まっている友人達が、Guns n' Roses を観るために夜行バスで東京まで行くのを、少数派の受験組であった僕は羨ましく思ったものです。

尾崎豊に至っては、僕が小学生のとき「Last Teenage Appearance ツアー」で福岡にやってきて、その公演を最後に活動を休止してNYに渡ってしまいましたので、ライブを観るチャンスすらありませんでした。
ちなみにこのときの福岡公演は、僕の兄が観に行ったので、僕は会場の入口まで着いて行った記憶があります。
そして小学生の頃から憧れ続けた尾崎豊を、高校3年の夏に初めて間近で見た感動は、今でも忘れられません。

1992年に上京してきて、まだマトモに知合いもいない時期に、尾崎豊の訃報を福岡の友人からの電話で知ったときはとてもショックでした。
そして4月30日には護国寺での告別式に参列しました。

ただ、何だか「尾崎ファン」というと、「メンドクサイ奴」という印象を与えてしまうことがあるので、あまり尾崎豊の話はしないようにしていました。
でも、僕の性格やモノの考え方に与えた影響はとても大きく、ファンでなければもう少し違うヒトになっていたのではないかと思っています。



…違う違う、思い出話とか自慢話なんかをしたいわけではなかった。
今日は、ちょっとした文句を言いたかったのです。

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尾崎豊

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例えば最近発売になったこのアルバム。
またしてもベスト盤です。
尾崎豊は生前、一枚もベスト盤を出していないのに、亡くなってからいったい何枚のベスト盤が出たことでしょう。
さらにいえば BoxSet など、3回も出てますし。
おかげで僕のCDラックには、BoxSet が3つ並んでいます。
そのようなわけで、1st~3rd アルバムまでは各4枚ずつあるという、大変マヌケな状態になってしまっています。

で、何が言いたいのかというと、「もういい加減ベストとか出さなくていいでしょ」ということです。
尾崎豊は公式には71曲しか発表していません。
その71曲をあれこれ組み替えてベスト盤を何度も出すのは勘弁して欲しいと思うのです。
僕のようなマヌケなファンは、「うーん、全部持ってるけど買わないといけない気がする・・・」という、よくわからない理由でつい買ってしまうのです。
わかってます。そんな僕のようなマヌケなファンが主要なターゲットだということも。
でも抗いがたい欲求に負けてどうしても買ってしまうのですね。

そして敵もさるもの。
ベスト盤のうち1曲だけは「未発表音源」などを交ぜてくるのです。

そうするともう、こちらもヤケクソです。
「そっちがその気なら全部買ってやろうじゃないか!」と挑発に乗ってしまい、同じようなCDが増え続けるのです。

毎年命日が近づくと、何かしらTVで特集番組が組まれ、何かしら発売されるこの状況。
新しいファンが増えたり、本当の魅力が伝わっていく(伝わっていってないと思うけど)ことは喜ばしいのだけど、彼の作品は消費される言葉、消費される音楽ではないと僕は思っているので、何かこう自然に黙祷を捧げたり、静かにその当時のことを思い出したり、あらためてアルバムを聴きなおしたり、そういう風にこの時期を過ごしたいと思っています。

そういえば辻仁成の詩集には、尾崎豊の告別式のことやNYで会ったときのことなどが、辻仁成の視点から描かれていて興味深いです。

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