いつも拝読している、「ビジネス法務の部屋」「CFOのための最新情報」「財務アナリストの雑感」「吉永康樹のCFO News」などで既に取り上げられていますが、昨年11月に東証マザーズに上場したばかりの株式会社エフオーアイが、粉飾決算の疑いで証券取引等監視委員会の調査を受けているとのことです。

同社は上場直前期である2009年3月期の売上高を、70億円から100億円程度架空に計上していたと報じられています。
EDINETで提供されている、同社上場時の有価証券報告書によれば、上場直前期の売上高は約118億円。
つまり報道が事実であるとすれば、売上高の60%から85%程度が架空の売上であったことになります。


もちろん上記の架空計上したとされる金額やその割合にも驚くのですが、上場準備時に厳しく要求されるはずの内部統制システムや監査などのチェックプロセスは、果たして機能していたのか、という点が非常に気にかかります。

架空計上の方法は、増資時の払込金などを海外口座を経由したうえで売上金として入金していた、と一部では報じられているようですが、正確なところは現時点ではよくわかりません。
しかし売り先に対しては残高確認書の送付などを行っていたでしょうし、監査法人から監査証明もきちんと出ているわけで、上場に関わった公認会計士や主幹事証券などの責任が問われる可能性もあるかも知れません。

昨年(2009年)のIPO企業数は僅か19社でしたが、そんな記録的なIPO不況の折、上場直後にこのような問題が生じるというのは非常に残念なことです。
2010年は30~40社程度のIPOが予想されると聞いています。
しかし昨今、シンガポール・香港・韓国の証券取引所への上場が推奨されたりといった話をよく耳にします。
そうするとますます日本の証券取引市場が冷え込んでしまうのではないかと、少々淋しい思いがします。

また東証を始めとした日本の証券取引所としても、「上場はしてもらいたいけど審査はますます厳しくしなければならない」というジレンマに苦しんでいるのではないかと思います。


以上、もうすぐ夏だというのに秋風が吹いているような、ちょっと淋しいニュースでしたが、今後の成り行きを引き続き見守りたいと思います。