中原中也  新潮日本文学アルバム〈30〉中原中也 新潮日本文学アルバム〈30〉
(1985/05)
不明

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「No Image」なのが非常に残念。
amazonさーん、写真載っけてくださーい!

この本は、1年くらい前から「そのうち買おう」と思い続けていたのですが、今回ようやく勢いで購入しました。

「ビートルズは武者小路実篤だった!」という、一年近く前のエントリー(結構今でもアクセスがあります)で、原田宗典さんにお会いしたことを書いたことがあります。
それ以来、武者小路実篤の詩が好きな僕ですが、原田宗典さんが紹介してくださった、「人間臨終図巻〈1〉」山田風太郎の中で紹介されている、中原中也の最期を読んだとき、あまりの切なさにクラクラしてしまいました。
(詳しくはココをご覧ください)

その中原中也の詩ですが、詩心のない僕にはよくわからないものも多いのですが、これから紹介する詩は、とても好きです。


帰郷

柱も庭も乾いてゐる
今日は好い天気だ
   縁の下では蜘蛛の巣が
   心細さうに揺れてゐる

山では枯木も息を吐く
あゝ今日は好い天気だ
   路端の草影が
   あどけない愁みをする

これが私の故里(ふるさと)だ
さやかに風も吹いてゐる
   心置きなく泣かれよと
   年増婦(としま)の低い声もする

あゝ おまへはなにをして来たのだと・・・
吹き来る風が私に云ふ




室生犀星の「ふるさとは遠きにありて思うもの そして悲しくうたふもの」とか、「うさぎ追いし かの山~」と、小学生の頃に学校で歌った「故郷(ふるさと)」など、故郷を歌うものは多くありますが、


あゝ おまへはなにをして来たのだと・・・
吹き来る風が私に云ふ



という最後の一節は、あまりに強烈です。


さて、そろそろ仕事に行こ!