株式会社は、新株予約権を発行した日以後遅滞なく、新株予約権原簿を作成し、次の各号に掲げる新株予約権の区分に応じ、当該各号に定める事項(以下「新株予約権原簿記載事項」という。)を記載し、又は記録しなければならない。



との規定が、会社法第249条にあります。

そしてまあ、新株予約権証券は発行しないことが多いでしょうから、

イ 新株予約権者の氏名又は名称及び住所
ロ イの新株予約権者の有する新株予約権の内容及び数
ハ イの新株予約権者が新株予約権を取得した日



新株予約権原簿には、これらを記載することになることと思います。


株主名簿に比べて、社債原簿や新株予約権原簿といったものは存在感が薄く、ついうっかり忘れられてしまいそうですが、会社法にも規定されていることですし、きっちり作成しておきましょう。

新株予約権にまつわるトラブルというのは、私の知る限りにおいても割と多くあるようです。

例えば創業者である代表取締役が自分自身に割り当てをしたものの、他の取締役が決議の不存在や瑕疵を主張したりというのはよくある話。特に創業者である代表取締役が第一線から退いた途端、そのような話が吹き出ることがあるようです。

また、設立間もない会社が、上場へ向けて役職員のインセンティブ目的のストックオプションを発行したものの、取締役会決議を欠いていたり、登記を失念していたりといった理由で、トラブルになるケースもあるようです。

いずれにしても新株予約権は、その名の通り、いずれ株式になる可能性が高いものであるだけに、金銭的価値が高い可能性もあり、取扱いは慎重にすべきです。

ひとつひとつの手続きを間違いなく進め、ついつい忘れがちな「新株予約権原簿」も漏れなく作っておきましょう。
作らなくても誰も何も言わないけど、トラブルが起きてからでは遅いですよー!