日本をダメにした10の裁判 (日経プレミアシリーズ 4) (日経プレミアシリーズ 4) (2008/05/09) チームJ 商品詳細を見る |
国民に直接選ばれたわけではない最高裁裁判官15人が、判例という名のルールを作っていることの危険性に気づきました。
テーマごとに裁判例を挙げ、裁判例が現代社会に及ぼす影響について考察されています。
第1章 正社員を守って増える非正社員の皮肉ー東洋酸素事件
第2章 単身赴任者の哀歌ー東亜ペイント事件
第3章 向井亜紀さん親子は救えるか?ー代理母事件
第4章 あなたが痴漢で罰せられる日ー痴漢冤罪と刑事裁判
第5章 「公務員バリア」の不可解な生き残り
第6章 企業と政治の強い接着剤ー八幡製鉄政治献金事件
第7章 なぜムダな公共事業はなくならないかー定数是正判決
第8章 最高裁はどこへ行った?-ロッキード裁判
第9章 裁判官を縛るムラの掟ー寺西裁判官分限事件
第10章 あなたは最高裁裁判官を知っていますかー国民審査
終章 法の支配がもたらす個人の幸せ
個人的に興味深かったのは、第4章の冤罪に関する記述です。
痴漢冤罪を例に挙げ、冤罪の発生する日本の刑事システムについて述べられています。
ところで、死刑廃止論者は、「冤罪であったときに取り返しがつかないから、死刑は廃止すべきだ」と、よく言います。私も昔は同じ理由から、死刑には反対でした。
しかし、自分にとって大切な人が犯罪の被害にあったとき、「死刑反対」と言い続けることができるでしょうか。
「十人の真犯人を逃すとも一人の無辜(むこ)を罰するなかれ」
この本ではこのような法格言が紹介されているのですが、被害者側にたつと、なかなかそのような心境にはなれないでしょう。
このほかにも、知っているようでよく知らなかった、ロッキード事件のことなども勉強になりました。
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