風にころがる企業ホーマー

企業法務や経営に関する話題を中心に、気ままに情報発信してます。

2011/04

今日、4月25日は尾崎豊の命日です。
亡くなったのは1992年なので、もうかれこれ20年近くが経ったわけです。

僕が福岡から東京に出てきたのも1992年。
1991年の「BIRTH ツアー」福岡公演を3列目だか5列目だかで観て、それから1年も経たないうちに亡くなったことになります。

当時福岡には、いわゆるビッグアーティストといわれるような人は、せいぜい年に1回しか来ませんでした。
そのため例えば「浜田省吾が来る!」などというとチケットを買うために、前夜から並んだり、「ふくおか」というローカル雑誌の売買コーナーでチケットを知らない人から買ったりということをしなければ、なかなかライブに行くこともできませんでした。
ましてや外国人アーティストなどが来ることはありませんでした。
高校3年生のとき、推薦で大学入学が決まっている友人達が、Guns n' Roses を観るために夜行バスで東京まで行くのを、少数派の受験組であった僕は羨ましく思ったものです。

尾崎豊に至っては、僕が小学生のとき「Last Teenage Appearance ツアー」で福岡にやってきて、その公演を最後に活動を休止してNYに渡ってしまいましたので、ライブを観るチャンスすらありませんでした。
ちなみにこのときの福岡公演は、僕の兄が観に行ったので、僕は会場の入口まで着いて行った記憶があります。
そして小学生の頃から憧れ続けた尾崎豊を、高校3年の夏に初めて間近で見た感動は、今でも忘れられません。

1992年に上京してきて、まだマトモに知合いもいない時期に、尾崎豊の訃報を福岡の友人からの電話で知ったときはとてもショックでした。
そして4月30日には護国寺での告別式に参列しました。

ただ、何だか「尾崎ファン」というと、「メンドクサイ奴」という印象を与えてしまうことがあるので、あまり尾崎豊の話はしないようにしていました。
でも、僕の性格やモノの考え方に与えた影響はとても大きく、ファンでなければもう少し違うヒトになっていたのではないかと思っています。



…違う違う、思い出話とか自慢話なんかをしたいわけではなかった。
今日は、ちょっとした文句を言いたかったのです。

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(2011/04/06)
尾崎豊

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例えば最近発売になったこのアルバム。
またしてもベスト盤です。
尾崎豊は生前、一枚もベスト盤を出していないのに、亡くなってからいったい何枚のベスト盤が出たことでしょう。
さらにいえば BoxSet など、3回も出てますし。
おかげで僕のCDラックには、BoxSet が3つ並んでいます。
そのようなわけで、1st~3rd アルバムまでは各4枚ずつあるという、大変マヌケな状態になってしまっています。

で、何が言いたいのかというと、「もういい加減ベストとか出さなくていいでしょ」ということです。
尾崎豊は公式には71曲しか発表していません。
その71曲をあれこれ組み替えてベスト盤を何度も出すのは勘弁して欲しいと思うのです。
僕のようなマヌケなファンは、「うーん、全部持ってるけど買わないといけない気がする・・・」という、よくわからない理由でつい買ってしまうのです。
わかってます。そんな僕のようなマヌケなファンが主要なターゲットだということも。
でも抗いがたい欲求に負けてどうしても買ってしまうのですね。

そして敵もさるもの。
ベスト盤のうち1曲だけは「未発表音源」などを交ぜてくるのです。

そうするともう、こちらもヤケクソです。
「そっちがその気なら全部買ってやろうじゃないか!」と挑発に乗ってしまい、同じようなCDが増え続けるのです。

毎年命日が近づくと、何かしらTVで特集番組が組まれ、何かしら発売されるこの状況。
新しいファンが増えたり、本当の魅力が伝わっていく(伝わっていってないと思うけど)ことは喜ばしいのだけど、彼の作品は消費される言葉、消費される音楽ではないと僕は思っているので、何かこう自然に黙祷を捧げたり、静かにその当時のことを思い出したり、あらためてアルバムを聴きなおしたり、そういう風にこの時期を過ごしたいと思っています。

そういえば辻仁成の詩集には、尾崎豊の告別式のことやNYで会ったときのことなどが、辻仁成の視点から描かれていて興味深いです。

辻仁成詩集 (現代詩文庫)辻仁成詩集 (現代詩文庫)
(1997/09)
辻 仁成

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本の山積み具合があまりにひどかったので、ここ2~3年、「自室にちょうどいい感じの本棚」をなんとなく探していました。
しかしなかなか思うようなものが見当たらなかったこともあり、今年に入ってからセミオーダーの本棚を注文しました。
そしてやってきたのがこれ。

2b70eabb.jpg

(恥しいので写真はあえて小さめ)

3月の初め頃やってきたのですが、狭い自室の形に合わせてオーダーしたことと、何よりこだわっていた「奥行き」がほどよいので、とても気に入っています。
まだ本の山が3つほどあるので、また近いうちにオーダーしようと思っているのですが、とりあえずは一段落です。


さて私の部屋には、本のほかにもCDとDVDが山のようにあります。
そこにギターが2本あったり、ギター用のアンプがあったり、子供用になってしまったA4ノートPCとその台があったりするので、ゴチャゴチャしていることこの上ない。
そこで、これまで使っていた古くて大きなステレオは思い切って捨ててしまいました。
その替わりに購入したのがこれ。

audio-technica アクティブスピーカー AT-SP92 WHaudio-technica アクティブスピーカー AT-SP92 WH
(2010/05/21)
オーディオテクニカ

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上の本棚の写真の右端、上から二段目にちょこんと置いてあるのが、このスピーカーです(見えるか微妙ですが)。
ご覧の通り、非常に小ぶりです。手のひらサイズです。
そしてこれにiPhoneを繋いで音楽を聴くのですが、BGM程度であれば何の不満もない程度の音質だと思います。
もちろん、人によっては「こんなんじゃダメだ」という方もいらっしゃるでしょうが、そこまで音にこだわらない方であれば、予想以上の音質に驚くのではないかと思います。


そんなこんなで、「書斎」といえるほど立派なものではないですが、自室が少しずつ快適なスペースになってきています。
この部屋で椅子に座って本を読んだりPCに向かったりする時間が、今ではとても気持ちの良い時間になっています。

とはいえ、なかなかそんな時間もないんですけどね(笑)


今日は超私的な空間のご紹介でした。
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「東証上場会社 コーポレート・ガバナンス白書2011」が、3月22日付にて、東証のホームページにアップされています。

そんな折。
日本経済新聞の「経済教室」のコーナーでは、3月31日に「コーポレート・ガバナンス 経営者の交代と報酬はどうあるべきか」の著者である久保克行先生、翌4月1日に全国社外取締役ネットワーク代表理事である田村達也さんのご意見が、「企業統治の論点」というテーマのもと、掲載されていました。

久保克行先生の上記著書はこのBlogでも以前ご紹介したことがあるのですが、非常に膨大なデータを基に、経営者の「交代と報酬」について論じられていてとても面白い一冊でした。そして今回の日経新聞の記事もまた、興味深く拝読しました。

さて、4月1日の田村達也さん。
こちらは紙面に目をやると、「社外取締役の義務化を」「国際標準、受け入れよ」「株主・投資家の意見反映」という大きな文字が目に飛び込んできます。
「全国社外取締役ネットワーク代表理事」という肩書が付されている以上、まあ、そのようなご主張は予想されるところでしょう。
中身もじっくり拝読いたしましたが、以下の言葉に全てが集約されているように感じました。


日本を除く世界の資本主義国の会社法制がこうした仕組み(社外取締役の義務化※管理人注)を導入しているのは、資本市場の活用が企業の発展成長に不可欠との認識に立ったものである。現在のわが国の資本市場と会社法制は世界の潮流から外れているため、海外資本が積極参加しにくい環境となっており、日本がグローバル経済の発展から取り残される事態となっている。



確かに監査役制度という海外に説明するのに難儀な制度があることによって「資本市場の活用」がしづらい面はあるかも知れません。
しかし社外取締役設置が義務化されていないことが、「日本がグローバル経済の発展から取り残される事態となっている」ことに直結しているという理屈は少し乱暴な気がします。
また、


財務省統計によれば2004~10年中の対外直接投資は48.1兆円、対内投資は6.5兆円となっている。こうした結果が生じるのは、海外では公開会社の企業買収が容易であるのに対し、わが国では内部者で固めた取締役会が防波堤の役割を果たし、敵対的買収が極めて困難なことも大きな原因の一つではなかろうか。


とまでおっしゃっています。これは例のソース屋さんのことなどを指しているのでしょう。
もちろん、「原因の一つではなかろうか」と問われれば、「原因の一つかもしれませんね」というほか答えられないようにも思います。
しかし果たして社外取締役の設置を義務化すればこれらの問題が解決するのかといえば、決してそのようなことはないと思います。


話は少々逸れますが、このような本が昨年、商事法務さんから出版されています。

会社法の選択―新しい社会の会社法を求めて会社法の選択―新しい社会の会社法を求めて
(2010/10)
中東 正文、松井 秀征 他

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商事法務さんのホームページから紹介文を引用すると、


本書は、明治から今日までの会社法制立法過程に関する歴史的分析をふまえた、かつてない、本格的研究である。
平成の時代にあっては「新会社法」が立法されるなど、頻繁に会社法(商法)改正が行われているが、本書は、明治以来、今日までの会社法立法過程を、それぞれの社会的背景、会社法制立法チャネルの変化、立法に関与した各種アクター(研究者・関係省庁・経済界・政界等ステイク・ホルダー)等の役割りと活動の変化を検証しながら、会社法改正を読み解く。
「無色透明の会社法」理論とその神話化に関する分析を通じて、ガバナンス、ファイナンス、マネジメント業務執行等の会社法立法について根本的な問題提起を行う。


ということで、個人的にとても興味のある一冊なのですが、現在の仕事に直接役立つような代物でもないだろうし、1,246頁もの大部だし、「長期休暇が取れた暁には、陽の当たる縁側でゆっくり読みたい一冊」と考え、amazon の「ほしいものリスト」に登録だけしています。(冗談ではなく本当に欲しいのです)

その「縁側本」(関係者の皆様、失礼な呼び名を付けてすみません)を受けて、中村直人弁護士が「旬刊商事法務」1919号(2010.12.25)に「実務からみた商法・会社法の立法過程と会社法制の見直し」という論考を寄せられていたことを思い出しました。

その中に以下のような興味深い記載があります。


従来、社外取締役義務化論は、モニタリング・モデルを理想とし、経営者は独立した者によって監督されなければならず、それによって企業の効率化や不祥事の防止に役立つという議論であった。
しかし、昨今の議論をみていると、良いものだから導入するという説明ではなく、欧米と日本のガバナンスが異なっており、説明してもなかなか納得してもらえないから、欧米と同じものにすべし、という議論に変わってきているようである。


そして次のような面白おかしい表現をされています。


欧米の投資家などに対する説明という観点からすると、問い「日本には経営者に対する独立した監督者がいるのか」、答え「日本には社外監査役がいる」、問い「社外監査役は経営者に対する人事権を持っているのか」、答え「持っていない」、問い「人事権なしでどうやって監督ができるのか」、答え「・・・・」ということになってしまうので、この際同じにしてはどうかということであろう。




それからまたまた話は逸れてしまうのですが、「旬刊商事法務」の同じく1919号には、アジア・コーポレート・ガバナンス協(議)会(ACGA)による、「法制審議会会社法制部会に対する意見」なるものが掲載されています。
そしてその意見の中には、以下のような記載があります。


(略)会社法または上場規則によって、上場企業の取締役会が、完全な議決権を持ち、適格要件と経験を備えた独立社外取締役を三名以上含むよう規定されるべきであると考えています。


ちなみにACGAは、欧米の年金基金や機関投資家が主要なメンバーのようです。

さらに、やはり同じく「旬刊商事法務」1919号の最後のページ、「スクランブル」においては、「日本企業のコーポレート・ガバナンスはどこへ向かうのか」というタイトルで、主にこの社外取締役問題が取りあげられています。
これは是非、バックナンバーでも何でも取り寄せて読んで頂きたいところなのですが、その一部を引用します。


投資家の中には、日本企業の業績が上がっていないことを錦の御旗に、今年一年間のガバナンス改革に不満を唱えている声高な団体もある。しかし彼らの提案は残念ながら、企業を取り巻く関係者の大半から支持を得られていない。たとえば、独立取締役を相当人数全上場企業に強制すべきであると唱えているが、業務執行の現場になじみのない独立取締役が相当数入り、重要な決定に議決権の一票を投じるよう強制することがいかなる理屈で企業の業績向上つながるのか。赤の他人に決めさせたほうが業績が向上するという理屈はどこから出てくるのか。(略)何かを強制したらこう良くなるという提案が、強制することのデメリットを捨象しているなど議論の視野が狭く、また論理の緻密さを欠いているのである。むしろ、異議を特段唱えていない大半の投資家のほうにサイレントマジョリティがあると考えざるを得ず、少なくともこうした声高な意見を投資家多数の声とみなして制度改正を進めるべきではないであろう。



そんなこんなに思いを巡らせながら、冒頭の「東証上場会社コーポレート・ガバナンス白書2011」のうち、興味のある部分に目を通していました。
そして、
「社外取締役の選任状況」(P28)  東証一部47・1%、東証二部43.1%、マザーズ62.9%
という数字に、「うーむ・・・」と思わず唸ってしまったわけです。

どうも海外からの声は、「監査役設置会社の取締役」と「委員会設置会社の取締役」の役割の違いが正確に理解されていないことがその前提としてあるようです。
そしてそれを理解してもらうために「社外取締役」という海外にもわかりやすい制度を導入しようという動きがあるように見えます。
であれば、海外からの理解を得たい会社は委員会設置会社になって社外取締役を設置し、特段そのような強い希望がない会社はこれまでどおり監査役設置会社として必要に応じて社外取締役を設置すればいいのではないかというのが、現時点での私の考えです。

もちろん、「日本は海外からの投資をバンバン受けたいから、社外取締役を設置してね~!」と、国が強い姿勢を示すのであれば、それはそれでよいことのようにも思えますが、実際のところは経済成長が先にないと投資先としての魅力もないでしょう。
逆にいうと、投資先としての魅力があればコーポレート・ガバナンスの細かな建てつけにまで口を出されることもないのではないかと思います。


以上、思いつくままタラタラと書いてみました。
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