昨年の11月のことだったか、12月のことだったか・・・
Twitter上で、いわゆる「暴排条項」のことについてつぶやいたところ、@unza_unzaさん(金融関係の法務にとても詳しい方です)から、「金融法務事情の12月5日号に特集がありますよ」という情報を頂きました。
そこで早速、きんざいさんに電話をして、12月5日号を購入しました。
(余談ですが、きんざいさんは「月刊登記情報」なども発行しているので、時々単発で雑誌を購入させてもらっているのですが、対応がとても早くて親切なので、助かっています。)
@unza_unzaさんには、お礼の言葉を伝えるとともに、「近日中に暴排条項についてBlogに記事を書きます!」と宣言しました。
@unza_unzaさんは、「そんなのどうでもいいよ」と思ったのかどうかはわかりませんが、「楽しみに待っています」という返事をくださいました。
それから3~4ヶ月。
まだ、書けていません。
というのも、NBLの1月15日号から、「暴力団排除条項」という連載が始まったので、この連載を読み終えてからにしようと考えたわけです。
(「連載は1ヶ月前に終わっているではないか」というツッコミはやめてください。)
さて本題です。
暴排条項については、政府指針と呼ばれる「企業が反社会的勢力からの被害を防止するための指針」が、2007年に示されたこともあり、契約書に盛り込まれることが多くなっています。
上場企業の一部などでは、取引基本契約書などを過去に取り交わしている相手先に、「確認書」などの提出を求めるなどして、「反社会的勢力と関わりがない」ことを表明してもらうなどの対応をしているようです。
さて、上述した「金融法務事情」ですが、当該号においては「暴排条項」の総論的な話に終始しています。
そのため、他の文献等である程度の知識を得ている方にとっては若干物足りない部分もあるかと思います。
しかし、企業がどのようにして反社会的勢力と関わりを持たないようにしているか、或いは図らずも関わりを持ってしまった場合にどのようにして関わりを断てばよいのかということを知るためには、簡潔にまとまっていて参考になるかと思います。
一方NBLの方は全3回にわたり、「暴排条項」の条項案を提示しながら、割と細かいところまで言及されています。
第1回目の921号では、「金融法務事情」とは切り口は異なるものの、やはり「総論」として、「暴排条項」の意義や機能などについて言及されています。
第2回目の922号の「継続的契約」をテーマにした部分までは、どの業界の法務担当者であっても関わりの深いところで参考になるものと思います。
922号の途中から923号にかけては、「不動産賃貸借契約」「保険契約」「区分マンション管理規約」という契約類型において、「暴排条項」が持つ意義や問題点が具体的に記されています。
特に「保険契約」の項目においては、損害保険・生命保険それぞれについて、保険というものの社会的な意義と、反社会的勢力排除の必要性の相克が非常に興味深いです。
この点に関しては、警視庁が発行している某ニュースレターにおいても、「暴排条項と保険約款」というタイトルで、ある有名な弁護士が簡潔にまとめているものがあるのですが、保険会社にとっては難しいテーマのようです。
このBlogにおいては、「暴排条項」に関する総論的な話と、企業法務担当者のはしくれとして思うところについて簡単に書いてみたいと思います。
「暴排条項」というと、「属性要件」「行為要件」の二つで定められるのが常識となっていますが、「属性要件」に該当することを理由に契約を解除することは、以下の理由で、なかなか難しいのが現実だと思います。
反社会的勢力といえば、「暴力団、暴力団員、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋等、社会運動等標榜ゴロ、特殊知能暴力集団」を指すというのが、警察庁のおおまかな解釈のようです。
しかし、これらに該当することを調べることはもちろん、ある程度の確度をもって該当することが確認できたとしても、それを明確に証明することは非常に難しい問題です。
銀行や証券会社といった金融業界・警察・証券取引所というのが、反社会的勢力に関するデータを最も多く持っている主体だと思いますが、これらのデータは公開されているわけではありません。
しかし一般の企業が精度の高い、反社会的勢力に関するデータベースを構築するのは困難ででしょう。
そのため一般の企業としては、日経テレコン21などのデータベースを利用して調べたり、「これは!」と思うような取引先が特定された段階で警察に照会をかけたり、調査会社に調査を依頼したりするのが現実的に取り得る手段かと思います。
しかしそのような手段で、「この取引先は反社会的勢力であろう」ということが、一定の確度をもって認識できたとしても、指定暴力団の構成員が役員であるなどという場合はさておき、通常はなかなか証明することが難しいでしょう。
少なくとも、「あなたの会社は反社会的勢力と関わりが深いようなので、取引をやめます」と正面切って言えるほどの明確な証拠を示すことが難しいことは想像に難くないところです。
もちろん、取引開始前にそのような事実が判明した場合には取引を行わなければ済む話ではありますが、取引開始後、特に継続的な取引が続いている相手にそのような事実が判明した場合、いかにして関係を断つかというのが重要なテーマになっています。
社長が指を詰める
という言葉が頭をよぎりましたが、これは冗談です。
長くなってしまったので、次回に続く。
Twitter上で、いわゆる「暴排条項」のことについてつぶやいたところ、@unza_unzaさん(金融関係の法務にとても詳しい方です)から、「金融法務事情の12月5日号に特集がありますよ」という情報を頂きました。
そこで早速、きんざいさんに電話をして、12月5日号を購入しました。
(余談ですが、きんざいさんは「月刊登記情報」なども発行しているので、時々単発で雑誌を購入させてもらっているのですが、対応がとても早くて親切なので、助かっています。)
@unza_unzaさんには、お礼の言葉を伝えるとともに、「近日中に暴排条項についてBlogに記事を書きます!」と宣言しました。
@unza_unzaさんは、「そんなのどうでもいいよ」と思ったのかどうかはわかりませんが、「楽しみに待っています」という返事をくださいました。
それから3~4ヶ月。
まだ、書けていません。
というのも、NBLの1月15日号から、「暴力団排除条項」という連載が始まったので、この連載を読み終えてからにしようと考えたわけです。
(「連載は1ヶ月前に終わっているではないか」というツッコミはやめてください。)
さて本題です。
暴排条項については、政府指針と呼ばれる「企業が反社会的勢力からの被害を防止するための指針」が、2007年に示されたこともあり、契約書に盛り込まれることが多くなっています。
上場企業の一部などでは、取引基本契約書などを過去に取り交わしている相手先に、「確認書」などの提出を求めるなどして、「反社会的勢力と関わりがない」ことを表明してもらうなどの対応をしているようです。
さて、上述した「金融法務事情」ですが、当該号においては「暴排条項」の総論的な話に終始しています。
そのため、他の文献等である程度の知識を得ている方にとっては若干物足りない部分もあるかと思います。
しかし、企業がどのようにして反社会的勢力と関わりを持たないようにしているか、或いは図らずも関わりを持ってしまった場合にどのようにして関わりを断てばよいのかということを知るためには、簡潔にまとまっていて参考になるかと思います。
一方NBLの方は全3回にわたり、「暴排条項」の条項案を提示しながら、割と細かいところまで言及されています。
第1回目の921号では、「金融法務事情」とは切り口は異なるものの、やはり「総論」として、「暴排条項」の意義や機能などについて言及されています。
第2回目の922号の「継続的契約」をテーマにした部分までは、どの業界の法務担当者であっても関わりの深いところで参考になるものと思います。
922号の途中から923号にかけては、「不動産賃貸借契約」「保険契約」「区分マンション管理規約」という契約類型において、「暴排条項」が持つ意義や問題点が具体的に記されています。
特に「保険契約」の項目においては、損害保険・生命保険それぞれについて、保険というものの社会的な意義と、反社会的勢力排除の必要性の相克が非常に興味深いです。
この点に関しては、警視庁が発行している某ニュースレターにおいても、「暴排条項と保険約款」というタイトルで、ある有名な弁護士が簡潔にまとめているものがあるのですが、保険会社にとっては難しいテーマのようです。
このBlogにおいては、「暴排条項」に関する総論的な話と、企業法務担当者のはしくれとして思うところについて簡単に書いてみたいと思います。
「暴排条項」というと、「属性要件」「行為要件」の二つで定められるのが常識となっていますが、「属性要件」に該当することを理由に契約を解除することは、以下の理由で、なかなか難しいのが現実だと思います。
反社会的勢力といえば、「暴力団、暴力団員、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋等、社会運動等標榜ゴロ、特殊知能暴力集団」を指すというのが、警察庁のおおまかな解釈のようです。
しかし、これらに該当することを調べることはもちろん、ある程度の確度をもって該当することが確認できたとしても、それを明確に証明することは非常に難しい問題です。
銀行や証券会社といった金融業界・警察・証券取引所というのが、反社会的勢力に関するデータを最も多く持っている主体だと思いますが、これらのデータは公開されているわけではありません。
しかし一般の企業が精度の高い、反社会的勢力に関するデータベースを構築するのは困難ででしょう。
そのため一般の企業としては、日経テレコン21などのデータベースを利用して調べたり、「これは!」と思うような取引先が特定された段階で警察に照会をかけたり、調査会社に調査を依頼したりするのが現実的に取り得る手段かと思います。
しかしそのような手段で、「この取引先は反社会的勢力であろう」ということが、一定の確度をもって認識できたとしても、指定暴力団の構成員が役員であるなどという場合はさておき、通常はなかなか証明することが難しいでしょう。
少なくとも、「あなたの会社は反社会的勢力と関わりが深いようなので、取引をやめます」と正面切って言えるほどの明確な証拠を示すことが難しいことは想像に難くないところです。
もちろん、取引開始前にそのような事実が判明した場合には取引を行わなければ済む話ではありますが、取引開始後、特に継続的な取引が続いている相手にそのような事実が判明した場合、いかにして関係を断つかというのが重要なテーマになっています。
社長が指を詰める
という言葉が頭をよぎりましたが、これは冗談です。
長くなってしまったので、次回に続く。