風にころがる企業ホーマー

企業法務や経営に関する話題を中心に、気ままに情報発信してます。

2010/01

いつも拝読している「司法書士内藤卓のLEAGAL BLOG」さんの記事。

税制適格ストックオプションの付与に関する調書の提出について



昨年ストック・オプションを発行した会社が、当該ストック・オプションを「税制適格ストック・オプション」として扱うためには、調書を明日までに税務署に提出しなくてはなりません。


忘れている方がいらっしゃれば、今から大慌てで取り掛かりましょう。
「うっかりしてました」じゃ済まない話になってしまいます。
海外に逃亡しなければ、取締役や従業員にタコ殴りにされます。


税制適格ストック・オプションの条件は、以前このBlogに纏めておいた気がしますが、纏めてなかったかも知れません。
今すぐ調べる必要がある方はググってみて下さい。

これから発行するんだよね、という方は、行使価額や行使期間を含め、かなり気を使うところですので、下記書籍を読まれることをオススメします。  

新株予約権、計算 (商業登記全書)新株予約権、計算 (商業登記全書)
(2008/10)
内藤 卓

商品詳細を見る


上記「司法書士内藤卓のLEAGAL BLOG」の内藤卓さんの本です。
実務に必要な情報をこれ以上きっちりと整理された本は、他にないと思っています。
しかも非常にマニアックな論点までカバーされています。
取得条項と行使条件を組み合わせた使い勝手のよいストック・オプションを模索していた頃の私に、大きなヒントを与えてくれた一冊です。


新株予約権・種類株式の実務―法務・会計・税務・登記新株予約権・種類株式の実務―法務・会計・税務・登記
(2009/01/05)
荒井 邦彦大村 健

商品詳細を見る


弁護士と公認会計士の共著です。
非公開会社がうっかり「募集」行為をしてしまわないためにも、金融商品取引法まで射程に入れた本書に目を通しておくことは有益かと思います。
さらにいえば、ブラック・ショールズモデルなどの、価値算定方法にも触れられているので、興味のある方にはたまらない一冊です。
このエントリーをはてなブックマークに追加

たいていのBlogには、「拍手」というアイコンが表示されていると思います。

これは表示させたり、させなかったりと選べるもの(少なくともFC2は、そう)なのですが、あまり利用されていないのではないかと思います。

というのも、コメントが入った場合は「返事を書こう」という気持ちが強く働くので、コメントが入ったかどうかは割ときちんとチェックしています。(僕の場合はメールで通知されるように設定しています)

しかし「拍手」。
これは正直あまりチェックしていません。
時々思い出したように、「過去30日の拍手の数」を確認する程度です。

でも実はこの「拍手」、Blogを書いている側からすると結構嬉しいものなのです。

もちろんコメントもとても嬉しいことに間違いありません。
私の駄文に対して何らかのコメントをわざわざ寄せてもらえる、というのは、Blogを書くことの醍醐味の一つでもあります。

しかし「拍手」は若干毛色が異なります。
どこのどなたかわからないけど、私の書いたものに対して拍手をしてくれているのです。
これは実にありがたいし、嬉しいことです。

昨日も一つ、どなたかわかりませんが拍手をして下さっていました。
僕はこのような「気付くと拍手をしてくれている方」を、「足長おじさん」か「小人の靴屋さん」に対する感謝の気持ちのような感覚で見ています。


そんなわけで、この場を借りてお礼を。

「拍手」をして下さっている皆さん、どなたかわかりませんが、ありがとうございます。



---------------------
(2月2日追記)
このエントリーに「拍手」して下さってる皆さん、ありがとうございます(笑)
史上最大の拍手数になっております。

※その後FC2ブログから Livedoorブログに引っ越したので、拍手がリセットされてしまいました…
このエントリーをはてなブックマークに追加

これから書くことに特別詳しいわけではないので、間違った認識があるかも知れません。
その際はご指摘頂ければと思います。


僕はこれまで携帯電話の「パケット定額制」に必要性を感じなかったので、毎月使用した分だけを支払ってきました。
使用した分と言ってもたかが知れていて、嫁さんや親しい友人とメールでやり取りをする程度なので、月間数百円。
ネットをしたい時は、自宅・会社のPCやmobileでやればいいので、それで十分でした。

ところでdocomoの「i-mode」を始めとする閉鎖的なインターネットサイトの話。
「i-mode」の開発者の方々は、ビジネススクールで講演をされるなど、「画期的なビジネスモデルを作り上げた人」として、もてはやされています(「もてはやされていました」か?)
結果論と言われればそれまでですが、私はこの「i-mode」「EZweb」「Yahoo!ケータイ」なるものの閉鎖性がイヤで、殆ど利用してきませんでした。
それにそのようなもののために、月間数千円の「定額料」を支払う気にもなれませんでした。

日本の携帯電話機能は「ガラパゴス化」などと言って揶揄されていますが、これらの閉鎖的なインターネットの世界もやはり同様だと思います。

i-modeの生みの親と言われる方たちは確かに優秀なのだと思います。
しかしそれは自社にとって数年間大きな利益をもたらす商品を開発したという点において、の話です。
確かに会社員である以上、正当な方法で自社に利益をもたらすことをやって責められる謂われはないでしょう。
しかしdocomoを含めたNTTグループの戦略というのは、ひたすら「囲い込み」です。
一度足を踏み入れると抜け出すのが面倒だったり、他に行くところもないので、当面そこにいるしかないような状況になってしまいます。

このあたりの発想は「電電公社」であった頃のNTTから脈々と受け継がれているのではないかと思います。
「電話加入権」「ISDN」など、時代の流れとともに陳腐化していくものは全て、囲い込み戦略の残骸のように思えます。
そしてこれに追随したauやSoftbankも、目の前の利益を取り敢えず追ったに過ぎないでしょう。
短期間で陳腐化するビジネスモデルを追いかけただけです。

しかしiPhoneが登場した今、「i-mode」などの閉ざされた世界に居続ける理由はなくなりました。
既にiPhoneを使いたいがために、docomoからSoftbankへ移動する動きが始まっているようです。

これからのdocomoを始めとした、携帯キャリア三社は、自社が日本国内でどれだけの存在感と重要性を担っているのか認識して、真に利便性の高いものを生み出す努力をして欲しいと思っています。
まずは「SIMロック」という下らない機能がなくなることを切に願うだけです。

「ここで遊んでくださーい!ここにしかないものがありますよー!」と、声をかけ、1億3,000万人の人たちを呼び寄せる。
そうすると同じようなサービスを提供できる会社が同じように、
「ここで遊ぶとこんな面白いものがありますよー!」と同じく1億3,000万人の人たちに声をかける。そうすると「何だ、何だ?」と一部の人たちが移動する。

その繰り返しの10年だったわけです。

「Appleがやっていることも結局は『囲い込み』じゃないか」、という向きもあるかも知れませんが、少なくとも日本の携帯キャリアがやっている囲い込みよりも、圧倒的に大きな規模の囲い込みなので、僕たちは囲い込まれても割と自由に動き回れます。

その違いは案外大きいです。


これからの会社が提供するサービスは、顧客から「積極的な理由で選んでもらえるサービス」でなければ、すぐに陳腐化してしまうのだと思います。
規制が緩和されてきている以上、当然の流れです。

以上、随分エラそうにわかったようなことを言っていますが、以上は一携帯電話ユーザーとしての個人的な意見ですのであしからず。
このエントリーをはてなブックマークに追加

V字回復の経営V字回復の経営
(2001/09/17)
三枝 匡

商品詳細を見る



ずっと積読になっていた一冊。
ようやく読みました。

著者の三枝匡さんは、ボストン・コンサルティング・グループ等を経て、現在は株式会社ミスミグループ本社の代表取締役会長CEOを努めていらっしゃいます。
三枝会長を直接知る人間が、私の周りに3人いるのですが、「鬼のようにコワイ」という意見で一致しています(笑)
仕事に関しては相当厳しい方なのでしょう。

さて、この一冊は、太陽産業という架空の会社における「アスター事業部」なる赤字組織を、黒岩莞太という子会社社長を中心とした改革タスクフォースが再建させる「フィクション」です。
しかし著者が何度も主張しているように、著者自身が実際に携わった5つの企業再建における経験を小説化したものではあるものの、「作り話だと言われると悔しい気持ちになる」というほど、実際の経験に近いストーリーになっているようです。


本書の感想を一言で言えば、「とても面白かった」の一言につきます。
もちろん、「面白かった」だけで終っても仕方がないのですが、本書には次のような一節があります。


経営経験が豊かになるということは、「どこかで見たことのある景色」が多くなるということである。



読書というものは、他人の知識や経験をなぞるものでもあるので、本書を通して、「どこかで見たことのある景色」が自分の中に増えたことだけを考えても、本書を読んだ価値は十分にあったのではないかと思います。
つまりこれから先、私自身が企業や組織の改革(というほど大きなものでないにしても)を行うときに、本書のどこかのシーンが「どこかで見たことのある景色」として浮かべば、冷静に対応策を考えられるのではないかと思います。

現在私は勤務先で、業務改善プロジェクトのオブザーバーとして、あれやこれやと口を出しているのですが、本書から得た「経験」は、このレベルのプロジェクトにも十分転用可能だと感じています。


著者の三枝匡さんがボストン・コンサルティング・グループ出身であることから、アメリカ的な経営手法や価値観、或いは事業戦略立案のための技術がふんだんに盛り込まれている。
そう考えて読むと、ちょっと違和感があるかも知れません。
もちろん経営手法や分析技術など、いかにも外資系経営コンサルタント的な話も出てきますが、決定的に重要なのはやはり、ナマの人間を動かすための「組織論」的な考え方のようです。

このあたりの著者の考え方のモトとなっているのは、「三枝匡の経営ノート 3」と題された、章間のコラムにあるような、著者の「1960年代から2000年までの経営学の変遷」ともいうべき「経営」に対する分析なのでしょう。
このコラムを読むためだけでも本書を買う価値があるのではないかというほど、非常に興味深い内容です。

前述のように、三枝匡さんは「鬼のようにコワイ」方だそうですが、それは衰退企業を「Turnaround」させるプロフェッショナルとして、必要な厳しさなのだと思います。
でも三枝匡さんと大前研一さんの3人で仕事をする環境に放り込まれたら、多分僕は逃げ出すでしょうけど・・・

最後に、本書で黒岩莞太が語っている言葉を引用します。
おそらくは、著者の考えと一致するものだと思います。


最近の米国的感覚の投資家や証券アナリストたちは、こんな事業に経営陣が時間とエネルギーを使うこと自体が間違いで、さっさとつぶせという態度です。
しかし私はそんな安直な論理に簡単に乗る気にはなれませんでした。
株主を重要なステークホルダーだとおっしゃるのも結構でしょう。しかし株主の多くは、電話やインターネット取引で秒単位にコロコロ入れ替わっていく人々です。何のコミットもしない人々です。
しかし、日本企業の社員は20年、30年と長い人生を会社で過ごし、朝から晩まで働いてきました。会社の価値を増やす行動をとってきたのは彼らです。
ですから、私にとっては社員のほうがよほど重要なステークホルダーです。




この言葉は、本書が2001年9月という時期に出版されたことを踏まえて読むとき、より一層重みを持って感じられることでしょう。
このエントリーをはてなブックマークに追加

昨日で現部署での業務が終りました。
来週からは、新しい部署での仕事が始まります。

今回、法務部門が独立した部署になることになり、そこの責任者になることになりました。
主な業務は、法務・コンプライアンス・内部監査なのですが、経営に関わることから内部統制システムの構築などにも大きく関与することになります。

とはいえ、まずは一人でのスタートです。
大企業では考えられないことですが(もちろんウチの会社でも例外的措置)、当面のあいだ部下のいない部長が誕生するわけです。
これまでは総務の責任者も兼ねていたので、総務を担当する部下がいました。
しかし、今回の法務部門はとりあえず一人で立ち上げます。
いつも「(ほぼ)一人法務」と書いていたのですが、これからは堂々と「一人法務」と書けます。

もちろん今後、社内から引っ張ってくるか、外部から引っ張ってくるかはわかりませんが、法務スタッフをつけてもらえるという話にはなっているので、それまでの辛抱ではあります。

いずれにしても、今の会社に入ってからもうすぐ2年。
いよいよ責任の重い立場になってきました。

まだまだ未熟者なので、一層の努力が必要だと、気を引き締め直す週末です。
このエントリーをはてなブックマークに追加

↑このページのトップヘ