風にころがる企業ホーマー

企業法務や経営に関する話題を中心に、気ままに情報発信してます。

2009/11

ビジネスロー・ジャーナルの読者交流会に参加した話を先ほど書いたのですが、名刺交換をしていると、「あっ!どうもお世話になっています」とおっしゃる方もちらほらいらっしゃいます。

というのも私の勤める会社は、ある特定の分野においてはリーディングカンパニーといってよいのだろうと思いますが、知っている人は知っている会社なのです。
決してメジャーではありませんが、特定の分野(その分野を書くと会社がわかってしまう)で、かなりのプレゼンスを発揮しているので、最初に書いたような事態が生じるわけです。

今日(正確には昨日)の交流会でも、思いっきりお客様にあたる方と名刺交換をして、どうもこのブログの存在も察知したご様子。
そうすると私の勤める会社に知られる可能性も高いわけで、会社との守秘義務契約上、書ける範囲が狭まってしまいます。

うーん、ジレンマだ。


でもまあ、眠いから寝てから考えます。
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(例によってamazonへリンクしていません。)

これで3度目の紹介になりますが、やはりこの一冊はいい。
民法の入門書としてはもちろん、過去にそれなりに民法の勉強をしてきた人が、民法を再度概観するのにも最適な一冊かと思います。

しつこいようですが、あくまで「概説」なので、「あっ!ここはもう少し突っ込んだ記述が欲しいな」などと思うこともありますが、条文・判例・通説にあくまでこだわった記述は、まさに企業法務担当者などの実務家向けです。

また、わかり易さ重視の姿勢が、以下のような記述にも表れています。
少し長いけど引用します。

通常の民法の解説書では、担保物件の書き出し部分には、担保物件の意義、種類、効力等が解説され、次いで、留置権、先取特権、質権、抵当権と、民法が規定する順序に従って個々の担保物件の説明がされている。しかし、この本では、抵当権を担保物件の典型として例に挙げて、人的担保と物的担保、債権者平等の原則と担保物件の順に説明した。このような論述順序になったのは、担保物件の中で抵当権が最も利用されているし、担保物件の典型である抵当権を理解することにより、ほぼ担保物件の性質をカバーすることができると考えたからである。



このように、読者の理解を促進するための工夫が全編に亘って凝らされています。
そして物権を理解するために必要な不動産登記法の話や、担保物件を理解するために必要な民事訴訟法・民事執行法・民事保全法といった手続法についても、必要最低限の説明がなされています。

初めて真剣に民法に取り組む方は、「ネコでもわかる」とか「3時間でわかる」とかの超入門書で民法の全体像をある程度捉えたうえで、本書のような入門書に挑戦してみると、案外短期間で民法の概要を理解することができるようになるのではないかと思います。

過去に真剣に民法に取り組んだけど、だいぶ記憶が薄れてきてるんだよなぁ、というような方は、本書を一通り読むことによって、(財産法の分野だけですが)記憶がよみがえってくるはずです。
でもくどいようですが「概説」なので、「ここのところ、もう少し何か論点があったよなー。何だっけなー。」というもどかしさを感じることもあるでしょうが、そこは割り切るか、他の基本書にあたりましょう。

前にも書いたような気がするのですが、企業法務をやるからには民法だけでもしっかりと学んでおくべきだと個人的には考えています。
そうすることによって、他の法令を理解するスピードが明らかに違ってくるからです。
一般法と特別法ということでいえば、ほとんどの私法は民法の特別法だと思いますので、この一事をもってしても、民法を学ぶことの重要性がわかるかと思います。

債権法改正が近づく今、現行債権法の記憶を喚起しておくことも有益でしょう。


何だかエラそうなことを書いていますが、民法の学習は、野球選手の素振りみたいなもので、イチロー選手ほどのレベルにあっても、常に怠らずに取り組むべき課題のように思います。


私は数年、素振りをサボっていました・・・
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今日はビジネスロー・ジャーナルの読者交流会に参加してきました。
今、まさに自宅に帰る電車の中なので、まだ興奮冷めやらぬ状態ですが、敢えてこの興奮状態で記事を書いています。

交流会ではdtk's blogのdtkさんや、企業法務マンサバイバルのtacさんや、Twitter上で交流させて頂いている方、初めてお会いする方、訳あって何度かお会いしている方など、色々な方にお会いすることができて、最高に楽しい時間を過ごすことができました。
dtkさんには本までお借りしてしまい、ありがたいやら申し訳ないやら・・・

dtkさんはBlog上の淡々とした雰囲気とは少しイメージの違う、とても愉快で素敵な方でした。お兄さんにしたいBloggerナンバー1といった印象でした。
tacさんもBlogでのキレ味鋭い文章とは少し違うイメージで、ソフトかつ洗練された物腰の中に熱いマグマのようなものを感じさせる素敵な方でした。シンガポールの話を今度じっくり聞かせてください。


ところで私は名刺交換をする時に、「ブログやってます」などということは全く言っていないので、もしかするとこのエントリーを読んだ方で今日の交流会に参加された方は、「えっ!?コイツ誰だ?」と、名刺の束を見返しているのかも知れませんね(笑)

いろいろな業種の方が集まった会だったので、一口に「企業法務パーソン」といっても、部署名や肩書きなどは様々で、もちろん担当されている職務も様々で、貴重なお話をたくさん聞くことができました。
ただ皆さん共通しているのは、「よその会社の法務部門は何をどうやっているのだろう」という好奇心というか興味というか、そのような情報を求めていらっしゃるということ。
企業法務担当者というややレア(ミディアムレアくらい?)な職種では、他社の状況を知る機会がそう多くないだけに、このような交流会や、ビジネスロー・ジャーナルという企業法務担当者にスポットを当てた雑誌というのは、貴重な情報源となっているようです。

ちなみにある超安定企業に勤めていらっしゃる方とお話をしたとき、私の前職について聞かれたのですが、私の前職(大手飲料メーカー)と現職を比較して「そんな大企業から小さな会社に移って勿体なかったですね」とおっしゃっていました。
私は好き好んでベンチャーで法務をやっているのですが、まだまだ「大企業=安定=成功」という図式から逃れられない若い方もいるのだな、と少々驚きました。
まぁ、案外そんなものかも知れませんね。

ところで、いま気付いたのですが、自宅の最寄り駅をとっくに通過してしまっています!


子供が寝ずに待っているのが目に見えているので、泣く泣く2次会のお誘いをお断りしてきたのですが、これでは帰りが遅くなるではないか!

そんなわけで慌ててさようなら。

ビジネスロー・ジャーナル編集部の皆さん、今日は楽しい時間を本当にありがとうございました。
また、出席された皆さん、お話できなかった方もいらっしゃいましたが、一緒に楽しい時間を作って頂いてありがとうございました。
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企業法務を担当されている方であれば、配達証明付内容証明郵便を送った経験は1度や2度ではないかと思います。

しかし、相手がまっとうな企業であれば別として、登記簿上の本店では実際に事業活動を行っておらず、代表者の自宅に内容証明郵便を送りつける場合など、個人の住所や居所に送る場合には、相手が不在だったり、居留守を使われてしまう場合があります。
そのような場合、郵便屋さんは不在票をポストに入れ、保管期限が切れたら差出人に返送するという手続きをとります。

そして返送されてきた内容証明郵便を手に、「どうしたものか・・・」と頭を悩ませる企業法務担当者の方も多いのではないでしょうか。
特に内容証明郵便が、解除や相殺などの意思表示を内容とするようなものであれば、当該意思表示が相手方に到達したといえるのかどうかは、非常に重要な問題になってきます。

ご存知のとおり民法97条1項は、隔地者間の意思表示について、以下のように定めています。

隔地者に対する意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。



そして昭和36年4月20日最高裁判所判決によれば、「(相手方の)勢力範囲に入った」時点で「了知可能な状態におか」れたと考えられています。
すなわち郵便物がポストに入った時点で、到達したといえると考えられています。

しかし内容証明郵便は通常配達証明を付けるので、上述のとおり相手方が不在であればポストに不在票が入れられるだけです。
そうするとこの不在票をもって、「相手方に到達した」とは主張できないように思えます。


しかしご存知の方もまた多いかも知れませんが、下記のような判例があります。

本件内容証明郵便の内容である遺留分減殺の意思表示は、社会通念上、被上告人の了知可能な状態に置かれ、遅くとも留置期間が満了した時点で被上告人に到達したものと認めるのが相当である。



上記は平成10年06月11日最高裁判所判決からの引用です。

つまり、不在票に記載された保管期限満了をもって、「到達したものと認めるのが相当」と言っているのです。
これはありがたい判例です。
ただし、以下のような事情があることが前提とはなります。

不在配達通知書の記載により、小川弁護士から書留郵便(本件内容証明郵便)が送付されたことを知り、その内容が本件遺産分割に関するものではないかと推測していたというのであり、さらに、この間弁護士を訪れて遺留分減殺について説明を受けていた等の事情が存することを考慮すると、被上告人としては、本件内容証明郵便の内容が遺留分減殺の意思表示又は少なくともこれを含む遺産分割協議の申入れであることを十分に推知することができたというべきである。


※一部削除しています。

これらをまとめて考えると、相手方にあらかじめ電話・FAX・普通郵便・メールなどの方法で意思表示を行い、その記録を取っておいた上で内容証明郵便を送れば、例え保管期限満了を理由に返送されてきたとしても、遅くとも保管期限満了の時点で意思表示は到達した、と考えてよいのではないかと思います。

以上、相手方が内容証明郵便から逃げ回っている時に効果的ではないか、というお話でした。
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先日予告したとおり、平成22年(2010年)版六法を買ってきました。


有斐閣判例六法 平成22年版有斐閣判例六法 平成22年版
(2009/11/10)
不明

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ポケット六法 平成22年版ポケット六法 平成22年版
(2009/10/01)
江頭 憲治郎、

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家の割と近くに三省堂があるのでそこで買ってきたのですが、時間があまりなかったので、本屋内を物色することはできませんでした。

そうはいっても、予定外で以下2冊も購入。

英文Eメール文例ハンドブック―ビジネスですぐ使える!英文Eメール文例ハンドブック―ビジネスですぐ使える!
(2008/05)
倉骨 彰トラビス・T. クラホネ

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ネイティブにきちんと伝わる ビジネス英語 会話編ネイティブにきちんと伝わる ビジネス英語 会話編
(2008/01/25)
松井こずえ

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1冊目は、かなり実践的なメールの文例が、小さい字でこれでもか!とばかりに掲載されています。また、文例も仕事上出会う様々な場面が想定されており、かなり使えそうな印象を持ったので、即購入しました。
英文メールの文例集はこれまでいくつか見てきたのですが、汎用性が高すぎて結局自分で大幅にアレンジする必要があったり、逆に特殊な状況過ぎて使えなかったり、ということが多かったので、この1冊は職場で手の届く場所に置いておこうと思います。
ちなみに以前職場にあった英文メールの文例集は、誰が買ったのか知りませんが、「ヘイ!ボブ!調子はどうだい?」みたいな文例が最初から最後まで羅列されていて、全く使えなかったので捨ててしまいました。
これまで海外とメールでやり取りするときは、「伝わればOK」程度の感覚で文章を書いていたのですが、もう少しメール社会のお約束を意識してやっていこうと思います。

2冊目は、明日お会いする海外からのお客さんとのことを思い(いまさらですが)買いました。
私の勤める会社は、帰国子女のバイリンガル・トライリンガル、果ては7ヶ国語を駆使する人までいて、おそらく従業員の3分の2以上がビジネス英語を難なく使いこなしています。
それに甘えて、これまで海外からのお客さんが来ると社内の人に通訳になってもらい、私は日本語で話してばかりでした。
「これではいかん」
と思い、明日お会いするドイツからのお客さんとは、英語でやり取りをしようと思っています。


そんなこんなで重い本を抱え、最後に近くの雑貨屋でいつも買っているアロマキャンドルを購入。
何だか女性っぽい趣味かも知れませんが、お香などを自室で楽しみながら本を読んだりするのが、私の気分転換方法の一つなもので・・・
このシリーズは香りがキツ過ぎないので気に入っています。


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