風にころがる企業ホーマー

企業法務や経営に関することについて、情報発信していきまーす!

2009年10月

先日、「株主名簿の法定記載事項をきちんとチェックしておきましょう。」というエントリーを書いたところ、twitter上で、「法務っぽい日々」のnaominixさん(@naominixさん)が、私のエントリーに触れて下さったうえで、

基礎から学ぶ株式実務[全訂版]によると取得年月日は名義書換えの請求が受理された日なんですね



との「つぶやき」をされていました。
私もこの結論自体に異論はないのですが、以下のようにつぶやいてみました。

譲渡制限かかってても、当事者間の売買には基本的に影響はないので、本来の売買日を記載するのがスジのような気はしますよね。名義書換はあくまで対会社の問題なので。



そうしたところ、今度は「企業法務について」のkataさん(@kataxさん)が、

名義書き換え前は会社に対抗できない以上、会社-株主関係の資料である株主名簿は、名義書換請求受理日を取得日とした方が筋が通るように感じませんか?、と会社法実務に1mgもタッチしていない僕が発言してみました。



と、いつもの面白おかしい調子でつぶやいて下さいました。

ここで、「そうかも知れませんね。フフフ・・・」などと言うのが大人の対応なのかもしれませんが、敢えてしつこく、次のようにつぶやいてみました。

あっ、結構この話題面白いですね。少し調べてみようかな。譲渡承認は効力発生要件ではないので、「株式を取得した日」はあくまで実体法上の効力が生じた日(=売買の日)だと思うんですよね。実務的には請求日に統一した方が効率的でしょうけど・・・



しかし、ここで個人的にはタイムアップ。子どもたちを寝かせる時間になってしまったので、一緒に寝てしまいました。
そして今日、「せっかくだからBlogでまとめてみよう」と、こうして書いているわけです。

前置きが長くてすみません・・・
ちなみにこの話題は、いわゆる譲渡制限会社に関するものであることをここで確認しておきます。


あらためて株主名簿に関する会社法の条文を確認しておきます。


(株主名簿)
第百二十一条  株式会社は、株主名簿を作成し、これに次に掲げる事項(以下「株主名簿記載事項」という。)を記載し、又は記録しなければならない。
一  株主の氏名又は名称及び住所
二  前号の株主の有する株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)
三  第一号の株主が株式を取得した日
四  株式会社が株券発行会社である場合には、第二号の株式(株券が発行されているものに限る。)に係る株券の番号



このうち第1号と第2号は、常識的に考えて、「そりゃ書かんとマズイよな」と誰でも思うところでしょう。第4号は絶滅危惧種なので、敢えて無視します。
問題となるのが第3号、

「株主が株式を取得した日」

です。

ちなみに会社法第130条第1項には、以下のような記載があります。

株式の譲渡は、その株式を取得した者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができない。



(第130条第1項には「株式を取得した日」は記載されていないので、「株式を取得した日」の記載の有無は、株主の第三者に対する対抗要件に影響はなく、純粋に第121条の問題、つまり会社法の要求することに会社がきちんと対応しているかどうか、の問題ですね。以上少し脱線。)


会社法に関する資料が自宅に殆どないので、google先生と多少の自分の知恵に頼るしかないのですが、いつもクールに会社法に突っ込みを入れていらっしゃる「まさるのビジネス雑記帳」さんはこの121条を、

私は、これは会社法によくある「ちょんぼ規定」の一つであると思っております。「株主名簿に記載又は記録した日」とすべきです。その日から、株式取得者を、会社としては株主として扱いましょうということです。



と一刀両断に切り捨てていらっしゃいます。

確かに「株式を取得した日」を厳密に株主名簿に反映されていたら、
「2年前に譲渡契約を締結して、その時に譲渡承認も得ているんだけど、今日、名義書換を請求します」
などということを大株主が言ったりして、「じゃあ前期の事業報告の『主要株主の状況』の記載に誤りがあったことになるではないか、なーんて問題が発生したりしかねません。

そうするとやはり、「名義書換請求があった日」を「株式を取得した日」として記載するのが合理的な判断でしょう。
しかしこれはあくまで「合理的な判断をすればそうなる」という話であって、「株式を取得した日」は本来やはり、売買契約を締結した日(ないしは、譲渡承認のあることを停止条件としている場合は、譲渡承認決議のあった日)であるはずです。

つまりバカ正直に会社法の条文に従おうとすれば、売買契約の日を株主名簿に記載する必要があることになってしまうと思うのです。
しかし、AさんとBさんが売買契約を締結したとしても、「売買契約書を見せろ」などと会社は通常要求しませんから、「Bさんが株式を取得した日→謎」などという記載をせざるを得なくなります。


何だか予想以上に長くなってきて、まとまりがなくなってきたので、そろそろ話をまとめたいと思うのですが、結論は、

「名義書換請求を受理した日」をもって、「株主が株式を取得した日」とするのが実務的には妥当なのでしょう。

ちなみに「受理した日」にするか「受領した日」にするか、一考の余地はあるかと思いますが、形式的に不備だらけの名義書換請求書を「受領」した日として記載することには若干の抵抗があるので、やはりここは「受理した日」でよいのでしょう。


こうしてつらつらと考えていくと、結論はnaominixさんがつぶやいた、

基礎から学ぶ株式実務[全訂版]によると取得年月日は名義書換えの請求が受理された日なんですね



の一言に集約されるのですが、まさるさんのおっしゃるように、「ちょんぼ規定説」が非常に有力なように思います。


しつこくて恐縮なのですが、登記の手法に従って、「原因年月日」として実際の売買契約の日(わからなければ「不詳」とする)を記載した上で、「記載(or記録)年月日」として譲渡承認請求書を受理した日を記載する、という手法も考えられますが、これはメンドーな上に実益がないですね。却下。
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僕は1年半ほど前から、我が家の「損益計算書」を作っています。

「それ、家計簿じゃね?」

とおっしゃる方もいらっしゃるかと思いますが、違います、あくまで「損益計算書」です。
Excelで作った力作で、ちゃんと予実管理もできるようにしてあります。
日々の入出金を入力すると、月末には「月次損益計算書」が完成するようになっています。

学生時代から結婚するまでは、カード破産一歩手前の状況に陥るほど、自分のお金の出入りに無頓着だったのですが、結婚して随分更正しました。
こういうのを「婚姻更正法」とでも名づけましょうか(笑)

冗談はさておき、家計ぼ・・・ではなく「損益計算書」を作っている僕にとって、買い物をした時にレシートをもらえないのはとても困ります。
「たいした金額じゃないし、ま、いっか」
と出金をなかったことにすることもありますが、原則としてきちんとレシートは貰います。

ところが、渋谷あたりのコンビニなどで買い物をすると、おそらくレシートを受け取る若者が少ないのでしょう。当然のように、おつりだけ返ってきます。
そのような時は、「レシートもらっていいですか?」と丁寧にお願いをするのですが、店員の若い女性は「はーーい」と間の抜けた返事を返したりします。

今日、渋谷のセブンイレブンで買い物をしたら、

「レシート大丈夫ですか?」

と聞かれて、一瞬考えてしまいました。

リポビタンDの有名なコピー「ファイト一発!」を、「ファイトは一発、二発と数えるものなのか?」と、10年以上前ですが、原田宗典さんが突っ込んでらっしゃるのを思い出しました。

コンビニのレジでおつりを受け取る状況において、レシートは「大丈夫か、大丈夫じゃないか」という基準で計れるものではないのではないか、と、こう思うわけです。
「大丈夫か、大丈夫じゃないか」の基準で無理に回答しようと思えば、やはりここは「大丈夫じゃないです」と答えるべきだったのでしょうか。


何となく言わんとしていることはわかったので、「あっ、下さい」と答えましたが、もっと気の利いた返事をすればよかったと、少し悔やんでいます。

例えば、
「レシートにケガはないようです」とか、「ケッコー大丈夫」とか、逆に店員さんを困らせることができなかったという、僕に油断があったことを反省しております。


・・・・昼休みが終わります。

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(2009/05)
勝見 明

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先日のエントリーで、第一種衛生管理者試験に合格したことを書いたのですが、「第一種衛生管理者試験」という検索ワードでこのブログに辿り着かれる方がここのところかなり多いようです。
「何だよ、大したこと書いてないじゃないか!」という思いをされるのも気の毒なので、僕自身の勉強法について少し書いてみたいと思います。

この資格を取ろうという方はたいてい、総務・人事・労務管理や工場の管理者などの仕事をされていて、必要に迫られて受験をされることが多いのではないかと思います。
ですので、仕事をしながらいかに効率よく、しかも確実に合格するか、ということを調べる過程で、このブログに辿り着かれたのだと思います。

僕自身は「法務」の仕事をしているので、あまりというか、殆んどこの資格を取得する必要はなかったのですが、「何人か受ければ一人くらい受かるだろう」という、管理部門を管掌する取締役の考えから、受験を勧められたわけです。
そして何も知らないうえに調べることもしなかった私は、第二種で十分なのに「せっかくだから第一種を受けてみよう」と、全く畑違いの分野まで勉強することになったわけです。

このブログを長く愛読して下さっている方はご存知でしょうが、資格試験に関して、僕は追い込まれるまで何もしないタイプです。というかむしろ、「難関」とか「超難関」といわれるような資格を除けば、追い込まれてから一気に勉強した方が合格し易いと僕は考えています。

現に僕はこの1年間でいくつかの資格や検定試験を受けてきたのですが、準備期間は最長で1週間程度。しかも勉強するのは通勤電車内と昼休みのみです。
仕事は普通にこなしますし、家に帰れば家事と育児も普通にします。
さすがに試験前日の夜や当日会場に向かうまでの時間は結構集中的に勉強しますが、第一種衛生管理者試験に関しては3日程度の準備期間で大丈夫でした。

これは決して自慢をしたくて書いているわけではないので、誤解してほしくないのですが、集中力に自信のある方であれば、この程度で必ず何とかなります。

むしろ下りのエスカレーターを駆け上がるように一気に詰め込んだほうが、この手の資格や検定試験に合格するにはいいのではないかと思います。
ただ1つの難点は、試験が終わったら勉強したことをかなり忘れてしまうこと。
ですので、資格試験の勉強を通じて内容をきっちり身につけたい、という方にはおすすめできません。
でもまあ、まずは資格なり検定試験なりに合格して、必要に応じて復習すれば済むことも多いでしょうから、あまり生真面目にやることもないのではないでしょうか。無責任なようですが・・・

僕は資格試験の勉強を「引き出しの付いた机」のようなイメージで捉えています。
どういうことかというと、机の上に乗っているものがいわゆる短期記憶。しかしこの机は時々勝手におせっかいな掃除係の人に片付けられてしまいます。つまりとりあえずは覚えていますが、時間の経過とともに割と簡単に忘れてしまいます。
そして引き出しの中に入っているものが長期記憶。きちんと整理分類して片付けてあり、ちょっとやそっとでは忘れることがありません。

つまり僕にとって、この1年間で取得してきたような資格や検定試験は、試験直前にどかーんと机の上に勉強したことを積み上げていって、おせっかいな掃除係の人に片付けられる前に試験を受けてしまう方法を採っているのです。


「そんなんじゃ資格取る意味ないじゃん!」
と言われるかも知れませんが、自分にとって大切だと思う知識は、試験が終わった後でも、掃除係の人に片付けられる前に引き出しの中に整理しますし、要所を初めから引き出しに整理しながら勉強してしまいます。
さらにこれが重要な点ですが、一息で試験の全範囲を概観することになるので、その分野の全体像を把握することができ、ある程度自分の中にフレームが構築されます。これは後日その分野の学習を深める上でとても重要なことです。


以上、随分エラそうなことを書きましたが、僕は具体的にはこの本を使って勉強しました。

U‐CANの第一種・第二種衛生管理者 速習レッスンU‐CANの第一種・第二種衛生管理者 速習レッスン
(2007/10)
ユーキャン衛生管理者試験研究会

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短時間で読みこなすのに適切な分量であること、わかり易さと内容の深さのバランスが良いこと、を基準に本屋で結構長時間検討して買いました。
本当は同じシリーズの過去問集も買ったのですが、これを解く時間は取れませんでした。ただ、はじめに過去問集にざっと目を通して、どんな試験なのかはきっちり確認しておきましたが。

理想を言えば過去問集を最後にぱーっと解いて、理解や記憶が曖昧なところを洗い出して復習する、というところまでやれば、満点に近い点数も取れるのではないかと思います。
まあ、そこまで高得点を取る必要はないのですが・・・


以上、人それぞれ勉強のやり方にクセや流儀があるのでしょうが、個人的には以上のような方法で、簡単な資格なら取れるものではないかと思っています。

このエントリーを読んで下さった方にとって、僕の紹介した方法が少しでも役に立てば何よりです。
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株主名簿管理人を設置していないけど、株主数が多い会社、というものも案外多いようで、

「株主名簿 作成」とか、
「株主名簿 エクセル」などという検索ワードで、このブログに辿り着かれる方も結構いらっしゃいます。

ところで、いつも拝読している司法書士内藤卓のLEGALBLOGさんのエントリーで、以下のような指摘がされているのを見てドキッとした私。

中小企業においては,株主名簿の管理が杜撰であることが多く,このような機会に株主名簿が整備されるという面がある。添付書面の記載事項としては,株式を取得した日の記載を要しないのかもしれないが,実務的には,調査の上,法定の記載事項を完備した株主名簿を整備しておくべきであろう。



私もいくつかの会社の株主名簿を見たことがあるのですが、「株式を取得した日」の記載が一切ないものが案外多く見受けられます。
しかしご存知のとおり、会社法上、株主名簿の記載事項は以下のように定められています。

(株主名簿)
第百二十一条  株式会社は、株主名簿を作成し、これに次に掲げる事項(以下「株主名簿記載事項」という。)を記載し、又は記録しなければならない。
一  株主の氏名又は名称及び住所
二  前号の株主の有する株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)
三  第一号の株主が株式を取得した日
四  株式会社が株券発行会社である場合には、第二号の株式(株券が発行されているものに限る。)に係る株券の番号



このうち、氏名・住所・株式数あたりは、常識的に考えて誰でも「記載しとかなきゃ」と思うのでしょうが、「株式を取得した日」は、案外盲点なのかも知れません。

とはいえ法定記載事項はきちんと守っておく必要がありますね。
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先日、「司法書士が参入すべき分野としてふと思いついたことのメモ。」として、思いついたことを途中まで書いていたのですが、昼休みが終わりそうだったので尻切れトンボになっていました。

今日はその続きを書こうと思っていたのですが、予定変更。
上記エントリーで、

一方の商業登記ですが、大企業などには大抵法務担当者がいて、登記まで自分たちでやってしまいます。商業登記は(非常に難しい案件もあるのですが)基本的に会社法などの知識があれば、あとは時間さえかければたいていは自分たちで何とかなってしまいます。



と書いていたのですが、先日ある大企業の法務担当者と話をしていたところ、「ウチは司法書士に依頼しています。」と堂々とおっしゃっていました。
もちろん私とて、全ての大企業が自分たちで登記をしていると思っていた訳ではありませんし、そうでないという事実も知った上での発言だったのですが、その後、その法務担当者はなかなか興味深い話をされていました。


以下、その要約です。

吸収合併などの案件も基本的に司法書士に任せている。彼らは合併までのスケジュールを組んでくれて、やるべきことを全て提案してくれるし、気軽に相談にも乗ってくれる。さらに言えば弁護士より格段に安い。



私は以前からよく、「司法書士さんは企業法務の世界にもっと参入してはどうでしょう」というような提案をしているのですが、やる人はやはりかなり高いレベルでやってるんですね。

昔ながらの「登記ならやりますよ」といったスタイルでは、これからの司法書士業界は間違いなく先細りでしょう。
上記のような、スキーム設計、スケジュール策定、登記手続などの総合的なサービスを提供できるだけの知識・経験とビジネス感覚を備えていれば、会社法に関する総合コンサルティングのような形で、ニーズは案外多くあるように感じました。
つまり、いわゆるコーポレート法務といわれる分野のある仕事をひとつのプロジェクトとして捉え、そのアレンジメントやマネジメント全般を行い、登記というエグジットまで、プロジェクトマネジメントの手法を使いリードするのです。

これまでの典型的な司法書士像というのは、最後の最後、登記の部分だけ引き受けることが多かったのではないでしょうか。
しかも企業側が持ってきた議事録に修正を求めたり、そもそも議事録がないから代わりに作成したりと、事後的な手続きにしか関わらないことが多かったように思います。

司法書士もこれからの時代は、受身の姿勢ではなく、もっと企業の内部にまで堂々と入り込んでいくべきなのかも知れません。



ちなみに初めに書こうと思っていたのは、債権譲渡登記を積極利用するスキームの話だったのですが、これについてはいずれまた書きたいと思います。
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