風にころがる企業ホーマー(入居作業中)

企業法務や経営に関することについて、情報発信していきまーす!

2009年01月

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今週の週間東洋経済の特集は「テレビ・新聞 陥落!」。どうも東洋経済やダイヤモンドは「陥落」とか「崩壊」とかいった言葉が好きなようです(笑)

さて、テレビと新聞が陥落する話なのですが、確かに最近「テレビは観ない」「新聞は読まない」という声をよく耳にするようになってきました。
かくいう私もテレビは殆ど観ませんし、新聞もとっていません。
そんな私ですが、今週の東洋経済におけるマスメディア、特に新聞社とテレビ局の窮状に関する特集は、とても興味深いものでした。
中でも「日本テレビの天皇」「民放のドン」などと言われている氏家齊一郎氏のインタビュー記事は、日本のテレビの先行きを読み取るには最適なものでした。

氏家氏は読売新聞社常務取締役、日本テレビ社長を経て、現在は日本テレビ放送網取締役会議長という、よくわからない肩書きを持っていらっしゃる方です。ナベツネこと渡邉恒雄氏とも親しいようで、どうも写真や発言から、同じタイプの方という印象を受けてしまいます。
さて、そんな氏家氏のインタビューなのですが、戦後から現在に至る過去の分析と、現状の分析についてはとても納得のいく、鋭い指摘が続いていました。
しかしこれが未来の話となると、時代錯誤との印象は免れません。
例えば、インターネットの台頭によってテレビの世界に構造変化が起きているのではないか、という質問に対する回答を引用します。


それは違う。多くの人が誤解しているが、インターネットはしょせんハード。問題は、そこにどういうソフトを流すか、だ。たとえばニュース番組。そのソフトの価値を決めるのは、ニュースを集めて選択して価値判断して流す主体が誰なのか、ということ。読売でいえば150年新聞をつくってきた信用であり、その信用と一緒になって55年番組をつくってきた日本テレビの信用。これを直ちにやろうと思っても、何兆円かけたってできない。もし、ブログに書いてある内容をそのまま信じてしまうような人がいるなら、よほど客観的な考え方ができない人だろう。




どうでしょう。
今や、テレビや新聞に書いてある内容をそのまま信じてしまうことの危険性に、誰もが気付いています。殊更にテレビや新聞の信用を主張し、インターネットに流れる情報を否定してみても、その論拠は時代遅れなものに思えます。

さらに引用します。


インターネットはテレビ放送のように1000万人単位の人が一斉に同じものを見る、とういう場合には適していない。サーバーを大量に使えば計算上はできるとしても、そんなことしたら高くついてどうしようもないだろう。アーカイブを見るのには向いているかもしれないが、大勢が集中するものは絶対ダメ。パンクしてしまう。
テレビ放送がインターネットに食われると言う人がまだいるけれど、まったくのナンセンスだ。インターネットは無料ではなくインフラの部分にものすごくおカネがかかっており、誰かがそれを負担していることもよく考えなければいけない。




1000万人単位の人が一斉に同じものを見る、という発想が時代に適していないのは明らかでしょう。
後段になるともう、何が言いたいのかわからない。テレビも立派なインフラ事業ではないのでしょうか。

このインタビュー記事を読むにつけ、このような前時代的なモノの考え方をする方がトップに君臨しているテレビ・新聞業界の先行きは暗い、との気持ちを強くしました。

業界の構造に問題があるようです。

弁護士葉玉匡美先生の講演を聞いてきました。
テーマは「インサイダー取引」

葉玉先生といえば、法務省民事局において会社法の起草に携わったり、ブログ「会社法であそぼ。」などから、「会社法の専門家」という印象が強かったのですが、そのキャリアの半分は検事として築き上げていらっしゃいます。
そんな葉玉先生がインサイダー取引をテーマに、東京地検特捜部の捜査秘話などを交えて2時間お話しして下さいました。

私はこれまでインサイダー取引というものに、そう強い興味はなかったのですが、葉玉先生の話は非常に面白く、インサイダー取引に関する理解も随分深まりました。
中でも興味深かったのが、従業員持株会による自社株の取得が、インサイダー取引になってしまうというリスクに関する話です。
従業員持株会を運営している上場企業の例えば総務部長が、いつも通りに自社株を買い付けたような場合に、たまたま「重要事実」を知っていたら、インサイダー取引に該当するとして、処罰されることもあり得るのだそうです。この場合に処罰されるのは総務部長個人です。何気なく日々の仕事をこなしていて、ある日突然犯罪者になってしまうというのは、恐ろしい話です。

このように、インサイダー取引というのは思った以上に身近な存在なようで、葉玉先生の経験上、上場企業の役員はかなり高い確率で、「うっかりインサイダー取引」をしてしまっているそうです。
「オレは大きな株式の売買をしないから大丈夫」というような方も注意が必要です。2008年に課徴金納付命令が下された人の取引最低額は4万円だったそうです。

さて、インサイダー取引をすると、証券取引等監視委員会(SESC)が調査に来るそうなのですが、ここでさらに告発されて検察庁が動くのかどうか、というのはそのインサイダー取引が悪質なものかどうか、というのも大きなポイントになるそうです。
例えば借名。他人の名前を使ってインサイダー取引をしていた場合。このような場合はたいてい検察庁が動き、刑事罰を頂戴することになるそうです。逆に正々堂々と自己の名前で取引をしていたような場合というのは、「うっかりインサイダー」である場合が多く、課徴金で済むことが多いそうです。
さらにこの借名なのですが、誰の名前を使おうともすぐにバレるとのこと。
昔、ある弁護士事務所の先生にインサイダーの疑いがかかったそうです。検事が弁護士事務所に乗り込んで来て、真っ先に向かったのが、別の先生の秘書の席。この秘書の机をゴソゴソやっているので、事務所の人は不思議に思っていたそうなのですが、後に理由を聞いて納得。疑いをかけられた弁護士と、この秘書は深い仲であったとのこと。検事は全てを知っていたのです(!)

このような例は稀なのかも知れませんが、上場企業にお勤めの方や取引先に上場企業が多い方は、くれぐれも「うっかりインサイダー」には気をつけて下さい。「重要事実」が発表されると、その前に怪しい取引がなかったか、証券取引等監視委員会は常に目を光らせているそうです。
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司法書士内藤卓のLEGALBLOGさんによると、京都司法書士会では毎年2月を、「相続登記はお済ですか月間」としているそうです。

確かに相続登記を忘れていたり、そもそもする必要があることを知らなかったり、ということはよくあることです。
私は数百件の相続登記を扱ったことがあるのですが、昭和22年以前に発生した相続については旧民法が適用されたり、相続人がいつの間にか27人に増えていたりと、面倒なことになってしまっている局面に遭遇することは、よくありました。

そういえば相続登記といえば、こんなドラマもありました。

依頼人は60歳過ぎの上品な女性Aさん。Aさんのお母様が亡くなられたそうです。お父様は既に亡くなっていました。Aさんはお母様と同居されていたこともあり、お母様名義の土地と建物についてはAさんの二人のご兄弟は相続しない。つまり遺産分割協議を行い、Aさんが相続するものとする、という合意が既にとれている状況でした。

早速私は、Aさんのお母様の出生から亡くなるまでの戸籍謄本を全て取得してみました。
そうしたところ、Aさんは仰ってなかったのですが、お母様には前夫がいることがわかりました。
しかし離婚しているので相続権はありません。
そこまでは「へえー」という程度のことだったのですが、よく見てみると、前夫との間に子供がいるではないですか!
さらに戸籍を追っていくと、その子供は生きている!つまり相続権があるのです!
何とAさんにはもう一人兄弟がいたのです。

私はAさんに電話をかけ、恐る恐るその話を切り出しました。
Aさんは少し戸惑いながらも、「そんなはずはない」と言っていました。「私の母親は堅い人で、前夫がいたり、他に子供がいたりなどということは断じてない」と。
後日、戸籍謄本を見てもらったところ、Aさんはひどくショックを受けていました。60歳を過ぎて初めて、自分に同年代の兄弟がいることが判明したのですから、そのショックは相当なものだったと思います。

結局のところ、戸籍の附票からその兄弟の住所を割り出し、Aさんから手紙を書いてもらい、話し合いの結果、その兄弟は何の権利も主張しないことに落ち着いたのですが、相続登記をきっかけとして、Aさんの人生に大きな影響を及ぼす事実が判明した、というドラマでした。

皆さんも相続登記をお忘れなく!
さらに、一度ご自分の戸籍を確認してみてください。
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日経ネットの記事によれば、株式会社等の法人登記簿の代表者住所を非公開にしようという政府の動きがあるようです。

この記事は私がいつも拝読している「ビジネス法務の部屋」さんでも紹介されています。

さて、ビジネス法務の部屋には、

そこそこ大きな会社であれば本店住所と代表者住所は別々でありますが、日本のほとんどの株式会社は代表者の住所を本店住所として登記しているはずです。


との記述がありますが、数千社の商業登記簿を見てきた私の経験からすると、それは違うかなと思います。
「本店」は事務所を構えているところを登記するのが通常ですので、自宅を事務所にしていない限り、代表者の住所と「本店」は別々になります。したがって、いくら小さな会社であっても、たいていの場合は自宅外に事務所を借りていることが殆どなので、「本店」と代表者の住所は別になっています。
なお、「本店」とカギカッコで記載しているのにもわけがあって、厳密に言うと、「本店住所」とは言いません。住所は自然人に対して使うもので、株式会社であれば「本店」となります。さらに細かいことをいうと、「本店所在地」というと最小行政区画までの話となり、何丁目何番何号まで書いてある場合は、「本店所在場所」といいます。
(本店移転の際に、株主総会で「本店所在地」を定め、取締役会で「本店所在場所」を定める、などというのは、ここの理解がないと、意味不明になるかと思います。)
ちなみに住所以外に生活しているところは「居所」といいます。

さて、話がそれてしまいましたが、先日の厚生事務次官襲撃事件等をきっかけに、個人情報保護の観点からも、商業登記簿に記載されている、代表者の住所を非公開にしてしまおうという話のようです。
現状として、大抵の会社の代表者は、確かに登記簿に記載されている住所に「住んで」います。しかしこれが大企業になると、話が違ってきます。
代表者の住所が登記簿に記載される際には、印鑑証明書を添付しているので、住民票にはその住所が記載されていることは間違いありません。しかし、大企業の社長や例えば芸能人などはそもそも住民票に記載されている住所には住んでいないことが往々にしてあるのです。その場合には当然、登記簿に載っている住所と実際に住んでいるところは異なってきます。
まあ、そうはいっても殆どの会社の代表者の住所は、登記簿と一致していますので、自宅にセールスがきたりということもよくあることです。

そもそも、何故商業登記簿は公開されているのか。
それはこれからその会社と取引をしようと考えている相手などが、本当にその会社が実在していて、契約書に捺印する相手が代表権を本当に持っているのか、等々を知るため(もちろんそれだけではありませんが)です。
そのような場合に、代表者の住所まで知る必要があるのか。
私はないと思います。さらに言えば、上述したように、大企業の社長さんや、有名人は「住所」と違うところに住んだりしています。
法務局として、代表者の住所を把握している必要はあるかと思いますが、公開の必要はないのではないかと思います。
商業登記簿で代表者の自宅を調べると、代表者の自宅が持ち家であれば、不動産登記簿を取ることによって、その代表者の銀行からの借入状況までわかってしまうのです。これはやはり気持ちが悪いですよね。
さらに、役所に虚偽の申請をしたり、弁護士等の「職務上請求書」を使えば、住所から本籍を割り出し、戸籍まで取れてしまいます。
これはさらに気持ち悪いですよね。

そんなわけで、非公開化に一票。
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ビジネスマンのための法務力 (朝日新書)ビジネスマンのための法務力 (朝日新書)
(2009/01/13)
芦原 一郎

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経理や財務の担当者ではない、一般のビジネスパーソン向けの会計本がブームとなっている昨今、同じようなコンセプトで法律に関する本がポツポツと出始めているようです。そしてやはり出ました“法務力”。ターゲットは弁護士でも法務担当者でもない、法律というものにあまり縁の深くないビジネスマンのようです。
著者は弁護士で、「アフラック統括法律顧問代行」という肩書きの持ち主です。

「はじめに」を引用します。

本書は、そんな普通のビジネスマンに、「法務力」を身につけてもらうことをねらいとしています。これまで法務とは縁のなかった一般社員が「法務力」を身につけることで、会社の法務はぐんと円滑になるし、ビジネスの脇は締まるし、なによりも、その人自身も見違えるように「仕事ができる」ようになるからです。



おっしゃることはもっともだと思います。
“法務力”と名づけるかどうかは別として、私も以前から、ビジネスパーソンの基礎的な法律知識の重要性をお話ししてきました。(参考:ビジネス実務法務検定

本書では、“法務力”を「リスクセンサー能力」と「リスクコントロール能力」と定義し、その二つを磨くためのケーススタディを行う形式を採っています。
具体的には以下の6つの技を使って、ケースに対応することを推奨しています。
① 温故知新
② 文殊の知恵
③ 最悪シナリオ
④ 怒る人がいないかテスト
⑤ 記者会見テスト
⑥ 他山の石
順番に、過去の経験から学んでみる、他人の知恵を拝借する、最悪のシナリオを想定してみる、ステークホルダーで怒る人は誰かをイメージしてみる、記者会見に耐えられるだけのことをしているかを考えてみる、他社の事例から学ぶ、ということを言い換えているものです。

しかし、このようなケーススタディを通して、“法務力”というものが本当に身に付くのかどうか、非常に疑問です。
著者は、「法務力にとって、実は重要でないもの」として、法律知識を挙げています。そして以下のように述べています。

法律の知識はいくら増えてもキリがありません。実際のビジネスの現場には、法律が想定していない曖昧な領域が沢山あり、その曖昧な部分を処理する能力こそが必要なのであって、すでに答えが明確に出ている判例や法令解釈などはネットで検索したり、弁護士や法務担当者に確認したりすればいいのです。
むしろ重要なのは、考える能力です。
想像してください。優秀な弁護士は判断が速く、沢山の知識を持っているように見えます。けれども本当に優秀だなあと感じるのは、複雑で込み入った問題をすっきりわかりやすく整理し、方向性を示してくれたときではありませんか?餅は餅屋に任せて、優秀な弁護士を要所要所で適切に使いこなす方が、効率がいいに決まっています。弁護士に一目置いてもらうために専門知識を身に付けようとするのは、方向性として間違いです。



また、次のようにも述べています。

「法務力」は細かい法律知識を覚えることで得られる能力ではありません。本来の「法務力」は、原理原則を理解し、考え、経験を積み重ねることによって身につく、もっと骨太な、大局を見る能力なのです。



いかがでしょう。
著者は何度もこのような主張を繰り返しているのですが、乱暴ですよね(笑)
法律にあまり縁のないビジネスパーソンをターゲットにしているだけに、「知識が重要」と言いにくのでしょうが、知識なくしてどうやって「原理原則を理解」するのでしょうか。知識を蓄えることなく「考える能力」を身に付けることは、どだい無理な話だと思います。
確かに知識に偏重することはどうかと思いますが、物事を理解するには知識も重要であることは自明の理です。

セクハラ、パワハラを行った人間に対する、解雇や降格といった処分を「ツール」と呼び、「これらのツールをうまく使い」などと表現したり、法務担当者を「ビジネスマン」ではないものとして扱ったり(私は自分のことをビジネスマンだと思っています)と、同意しかねる部分が多く見受けられました。

「ビジネスマンはもっと法律を知るべき」というコンセプトには賛成なのですが、この本を読むよりもビジネス実務法務検定3級の勉強をする方が、勉強になると思います。
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