風にころがる企業ホーマー

企業法務や経営に関する話題を中心に、気ままに情報発信してます。

2008/12

「最近の広告はビジュアル重視でつまらんなぁ」と常々感じていた私。
しかし最近、鋭いコピーを2つみつけました。

まずはこれ。

「内定取り消しされた方 5名まで引き受けます   宣伝会議」

広告に関する出版・教育事業を行っている、株式会社宣伝会議の求人広告です。
ターゲットもメッセージも明確ですし、何よりコトバが強い。
私は新聞広告で見たのですが、文字が大きく書いてあるだけ。潔いです。


次にこれ。

「宅配は、ネコである」

おわかりですよね?
そう、クロネコヤマトのヤマト運輸です。
ダジャレなんだけど、うまい。
ダジャレなんだけど、「宅配といえばクロネコ」というブランド化までしてしまっている。

この2つの広告を見て、また、最近出版された本の傾向から、「今、コピーがキテいる」と思いました。

というのも、ここのところ、
天野祐吉さんの「広告も変わったねぇ。「ぼくと広告批評」と「広告の転形期」についてお話しします。」や、
仲畑貴志さんの「ホントのことを言うと、よく、しかられる。勝つコピーのぜんぶ」や
「みんなに好かれようとして、みんなに嫌われる。勝つ広告のぜんぶ
さらには「ザ・コピーライティング―心の琴線にふれる言葉の法則
といった本が多数出版され、マーケティングとしてのコピーライティングに注目が集まっているように思えるからです。


「広告とは世の中に対するイタズラである」
と、イタズラ好きな私はその昔、コピーライターを目指していました。
就職活動時も、広告会社でのコピーライターの仕事に絞って活動していましたし、就職してからも、宣伝会議さんの「コピーライター養成講座」に通ったり、宣伝会議賞に応募したりしていました。
気づくとこうして企業法務の仕事などしているわけですが、もともとは広告、中でもコピーというものにとても興味があるのです。

そんなわけで世の中が「コピー」に着目して、素敵なコピーがたくさん出てくることは、素直に嬉しい。そして楽しい。
まあ、このブログを読んでくださっている方には、「お前のコピーのセンスなんぞ、高が知れている」と、私の力はお見通しなんでしょうけどね(笑)

そんな私は最近、広告をこう思っています。

      芸術とビジネスのあいだ



追記:
下で紹介しているのは、大貫卓也さんというコピーライター(本来はアートディレクターかな?)の作品集なのですが、私の愛読書でした。
現在は入手困難なようですが、一読の価値があります。

大貫卓也全仕事 (広告批評の別冊 7)大貫卓也全仕事 (広告批評の別冊 7)
(1992/09)
不明

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今月で35歳になりました。
プロフィールの年齢を書き換えたのですが、「34歳」と「35歳」では、印象がだいぶ違うような気がします。
35歳というのは、中年の一つの境目である30代も板につき、「ああ、オレもオッサンになったんだなぁ」と感じる年齢のような気がします。ま、個人差はあるでしょうが・・・(笑)

私は今まであまり、年齢が上がっていくことに抵抗がなかったので、年齢を誤魔化したり隠したりする人の気持ちがよくわからなかったのですが、来年からは35.1歳、35.2歳と、小刻みに歳を取っていこうかとも思ってしまいます。

まあそうはいっても、こればっかりは逆らえないので、充実した35歳にしたいと思います。
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先日、私の勤務先の社長に誘われ、二人で食事に行きました。

私の会社の社長というのは、ある証券会社の海外支店勤務や外資系証券会社で部長を務めた後、私の会社にやってきたという、"華やか"なキャリアの持ち主なのですが、それを鼻にかけるようなところもなく、従業員にも丁寧かつ穏やかな接し方をする、素敵な50代です。
さて、そんな社長とは、数人で酒席を伴にしたことは何度かあるのですが、二人で食事というのは初めてのことでもあり、「何か話があるのかな」と若干の不安を覚えつつ、焼肉をご馳走になりました。
結果的には「何か話がある」というようなわけではなく、「たまにはゆっくり話をしよう」という趣旨だったようで、4時間もサシで話をすることができ、有意義な時間を持つことができました。小規模な会社ならではの経験ですね。

「君は何歳だっけ?」と聞かれたので、先日35歳になったと伝えると、「5年以内に経営に携わるようになることを目指しなさい。君ならそれができるから」との、身に余る励ましの言葉を頂きました。
そして今後の私のキャリアについて示して下さったのですが、これが励ましのための言葉だとしても、とても嬉しいものでした。
「5年以内に経営陣の仲間入りをするのは、大きな会社では到底できない話だが、当社のような会社なら十分可能だ。そのために今何をする必要があるのか、しっかり考えろ」と熱く語られると、つい私もその気になってしまいます。単純なものですね。

年末年始には、長期・短期の計画をたてようと考えているのですが、社長の言葉を励みに、目標を組んでいきたいと思います。
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朝日新聞の12月16日付の記事によると、ミスタードーナツをフランチャイズ方式で運営する株式会社ダスキンに対して、株主代表訴訟の勝訴株主が訴訟を提起することになるようです。
これは、いわゆる「ダスキン事件」において株主代表訴訟(会社法上は「責任追及等の訴え」)により、当時のダスキンの取締役らに対して約53億円もの巨額の賠償が命じられた有名な裁判の「その後」の話であったのですが、思わぬ広がりを見せることになっています。

そもそも「ダスキン事件」とはどんな事件であったのか、概要を記したいと思います。

ミスタードーナツが2000年頃から販売していた肉まんに、食品衛生法で使用が禁止されているTBHQという酸化防止剤(極微量であり健康被害は考えにくい。またアメリカ等では使用が禁止されているものではない)が混入していたという事実が2002年に新聞等で報道され、それによってミスタードーナツの売上が大幅に低下しました。フランチャイザーであるダスキンは、フランチャイジーである各加盟店に対し、売上減に対する補償等を行い、多額の出費を余儀なくされました。
酸化防止剤の混入は、ある業者からの通報によってダスキン側に知らされたのですが、当時のダスキンの取締役らは、この業者に対して口止め料を支払い、また、積極的に事実を公表する等の措置を取りませんでした。
この取締役らの作為・不作為によって生じた損害について、株主代表訴訟が提起され、2008年2月、約53億円の支払いを命じる判決が確定しました。

この判決では取締役の作為義務が問題となり、注目を集めたのですが、ここではあえて触れません。あくまで「その後」の話をしたいと思います。

ここでは、ダスキン、ダスキンの当時の取締役ら、株主代表訴訟を提起した株主、株主の代理人弁護士の4者が登場します。
株主は53億円もの賠償を命じる判決を得ましたが、現在までのところ実際に当時の取締役らから回収できた金額は6億9,000万円といわれています。このお金はダスキンに入ります。
一方、株主は訴訟を弁護士に委任しており、「経済的利益」を基準として算出された弁護士報酬は、「経済的利益」を53億円とすると4億円。「経済的利益」を6億9,000万円とすると5,500万円と計算されています。
もちろん弁護士としては前者を「経済的利益」と主張し、4億円を請求します。一方ダスキンとしては後者を「経済的利益」と主張し、5,500万円の支払義務しかないと反論します。
(会社法第852条第1項により、弁護士報酬は会社が負担することになっています)
そこで弁護士がダスキンに対し、「4億円払え」と訴えを提起しようとしているのが今回のニュースです。

この問題、もしかすると構造的な問題を孕んでいるかも知れません。
株主代表訴訟については、訴額にかかわらず印紙代は1万3,000円です。これが株主代表訴訟でなければ、53億円の訴額に対して11,320,000円の印紙代がかかることになります。さすがに1,000万円以上の印紙代がかかるとなると、「勝訴しても53億円の回収は見込めないから10億円を請求しよう」という意識が働くかもしれません。特に今回のような株主代表訴訟においては、請求先は取締役ら個人ですので、53億円の支払いは非常に難しいかと思います。
しかし株主代表訴訟は1万3,000円の印紙代ですので、「請求できるだけ請求しよう」という発想になっても不思議ではありません(今回の事件がそのような発想によるものなのかはわかりませんが)。

こうなると会社側としては、弁護士報酬を算出する基準となる「経済的利益」は、実際に回収できた額(今回でいえば6億9,000万円)にして欲しいと考えるでしょうし、弁護士としてはそれでは割が合わないので、「株主代表訴訟はやりたくない」ということになるかも知れません。
このような事態を避けるためには、「経済的利益」に一定のパーセンテージをかけたものを弁護士報酬とする契約ではなく、確定額を弁護士報酬とする契約を締結しておくべきだったのかも知れませんね。
しかし高額の賠償金を命じる判決が出てきている昨今、構造的にこのような問題を解決する方法を考える必要もあるかと思います。
今回の訴訟の経過が非常に気になるところです。


この問題は「ビジネス法務の部屋」さんでも触れられています。
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今日はビジネス実務法務検定2級を受けてきました。

勉強が遅々として進まず(笑)、公式問題集を一度解いて解説を読む、という程度の準備しかできませんでした。しかも試験開始の30分前になんとか一通り読み終わるという体たらく・・・
その結果は・・・

・・・合格のようです。

大原簿記学校の解答速報に基づく自己採点の結果は84点でした。70点で合格なので、解答速報に多少の間違いがあったとしても、まあ大丈夫でしょう。一安心です。

私は司法書士試験や司法試験を少しかじっているので、民法・会社法・民事訴訟法それから不動産登記法あたりの知識はある程度ありました。しかし、ビジネス実務法務検定は範囲が広いので、広く浅く様々な法律を学習する必要があり、とても有意義な勉強をすることができました。特に消費者保護関連の法律は、実務で調べることはあっても、なかなか本で学習する機会がないように思います。

せっかくなので、来年の夏は1級を受けてみようかと思っています。



追記
※1級は年1回、12月にしか試験が実施されないという事実が判明しました・・・
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