風にころがる企業ホーマー(入居作業中)

企業法務や経営に関することについて、情報発信していきまーす!

いやはや、時間が流れるのは実に早いもので、気が付くと8ヵ月ほどBlogを更新していませんでした。

久しぶりにアクセス状況を見てみたところ、頻繁に更新をしていたころの半分以下にPVが落ちているものの、毎日それなりに見にきてくださっている方々がいて、中には「拍手」をクリックしてくださる方もいたりなんかして、何ともありがたく思っています。


せめて年末に「一年の振り返り」のようなものを書こうと思っていたのですが、なぜか正月休みが終わったこの時期に振り返ってみようと思います。
ごく私的な話題ばかりなので、その点ご容赦を。


まずはいくつか活動報告のようなものをご紹介。
前回のエントリで自慢させてもらったのですが、本Blogの記事を、日経新聞の広告に引用して頂いたのが3月のこと。
その前だったか後だったか記憶が定かではないのですが、同じく日経新聞にインタビュー記事を載せてもらう機会がありました。
企業法務担当者の声ということで匿名ではあったのですが、貴重な経験をさせて頂いて、関係者の皆様に感謝です。
ただ、「そうは言ってないんだけどなぁ・・・」という部分があり、もっと正確に理解してもらえるように話をする必要があるぞ、と反省する内容でしたので、自慢は控えめにしておきます。

また昨年は、某人気法務雑誌に、はじめて実名で記事を書かせて頂きました。
これまた書いているうちに自分のこの一年の勉強不足を思い知り、「いかん、いかん」と、反省することしきりでした。

あとは、ちょっとしたご縁から、何度か教えを請うたことのある大学教授に声をかけて頂き、専門書に13ページほど、経営に関することを書かせて頂きました。
これも実名での執筆だったのですが、amazon では編著者である教授しか名前が出ていないという、何とも淋しい状況になっています。

そのようなわけでこれまで、「何となく匿名で活動してるけど、その気になって調べれば誰だかわかる」というような曖昧なスタンスでいたのですが、少しずつ実名寄りになってきている感じではあります。
まぁ、そんなことはどうでもいいですね。


次に仕事のことをちょびっと。
「風にころがる企業ホーマー」というBlog名のとおり、コロコロと転がりながらいろんなところでいろんな仕事をしてきた私ですが、企業法務というホーム(ダジャレではない)から少しフィールドが拡がり、昨年から管理部門全体をみる立場になりました。
財務・経理、人事、システムなどなど、それぞれに専門知識をもった人材がいるので、実務をバリバリやるわけではないのですが、判断をする必要は当然あるので、知識を深めたいことがてんこ盛りです。

「少しだけ、無理をして生きる」
という城山三郎の本がありますが、いつも「ちょっと難しいかなぁ」ということに挑戦してきた私。
今は「かなり、無理をして生きる」になっているような気がしていますが、きっともう少しすると「少しだけ」になるんじゃないかと思い、頑張っとります。


最後に極めて私的なことを少し。
2月頃だったか父親が脳のトラブルで倒れ、70歳を過ぎて初めて入院し、病院の検査を受けてリハビリをするということがありました。
幸い大事には至らなかったのですが、バイク屋の経営を続けるのはもう難しいだろうということで、両親揃って東京に引越してきました。
私のきょうだいはみな、20年ほど前から両親のもとを離れて今は全員東京に住んでいるので、これでようやくまた、家族全員が近くに住むことになったわけです。
15歳で丁稚奉公に出て、60年近く働き続けてきた父親と、一緒に店を支えてきた母親。
3人の子供たちを大学にまで行かせてくれた両親に、これからできる限りの恩返しをしたいと思っています。



そのようなわけで、なんやかんやと慌ただしく過ぎていった一年でしたが、あらためて私にとって大切なことが何かを考える一年でもありました。

感謝の気持ちを忘れないこと。
初心を忘れないこと。

私がいつも大切にしているこの二つのことを、(少し遅れたけど)年始に記しておきたいと思います。


今年はもう少し更新頻度を上げたいと思いますので、今後ともごひいきに!
ではでは。

(次はNBLの、とある記事について書くつもりです!)

弁護士さんや私たち企業法務担当者のあいだに留まらず好評を博しているこの一冊。


暴力団排除条例ガイドブック (BUSINESS LAW JOURNAL BOOKS)暴力団排除条例ガイドブック (BUSINESS LAW JOURNAL BOOKS)
(2011/12/22)
大井哲也、黒川浩一 他

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法務部門のある会社などでは概ね、「反社会的勢力対応」に対する認識が行きわたっているように感じています。
しかしまだまだそのあたりの認識が低い会社さんだとか、認識はしているけど「何からどう手をつければよいのかわからない・・・のでとりあえず放置」といった会社さんなども多いように思います。

本書はそんな、「とりあえず放置型」の総務部門の方などにこそお薦めしたいと、近頃は思っています。


さてさて、そのようなわけで幅広く読まれることが願われるこの本ですが、先日、といっても1か月以上前ですが、日本経済新聞に広告が出ておりまして、「読者の声」として、このBlogの記事を引用して頂いています。


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左側はご存知「企業法務マンサバイバル」のtacさんなのですが、右側は実は私だったのですねぇ。


というわけで、ちょっとだけ自慢してみました。


(ちなみに私はLexisNexisさんの回し者ではないので、対価を頂いているわけでも宣伝を頼まれているわけでも何でもなく、単純に「良いものを紹介したい」というだけですので悪しからず)
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「まだ生きてるぜぇ~」というタイトルは、以前にも使ったことがあるように思うのですが、私はまだ生きてます(笑)

さて、ずいぶん更新が滞っておりました。
「最近更新されていませんね」という、たいへんありがたいメールを頂くこともあるので、たまには更新してみようと思いました。

思いましたが、特に何を書こうという考えもなく書き始めたので、仕事の話になるのか、子どもの話になるのか、最近読んだ本の話になるのか、まだわかりません。

そうそう、私の実家は福岡県のバイク屋だということをご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、先日、2012年3月31日をもって、40年の歴史に幕をおろしました。
両親が高齢になり、体力的に厳しい状況が続いていたのですが、父親が体調を崩すなどということもあったため、これを機に店をたたんで東京に引っ越してきてもらうことにしました。
私のきょうだいは全員東京に住んでいますし、ちょうど数日前に兄の家に赤ちゃんが生まれたこともあるので、タイミングも(何となく)いいように感じています。

そのようなわけで店をたたむ手伝いをしたり、実家に置いてきた荷物の数々を整理したりと、東京ー福岡間を往復する機会が増えています。
しかしあらためて思うのですが、「生まれ育ったところ」というものに対する特別な感情はなかなか捨てきれるものではなく、私自身はかれこれ20年ほど東京に住んでいるのですが、「自分は福岡県民」という何となくぼんやりしたこだわりのようなものは、ずっと持ち続けています。それで本籍もずっと福岡においています。

そして最近思うのですが、考えてみると私は子どもの頃から、「ふるさと」をテーマにした歌や詩などにやけに惹かれるところがあったな、と。

うさぎ追いし かの山
こぶな釣りし かの川


で始まる「ふるさと」や、

ふるさとは遠きにありて思ふもの
そして悲しくうたふもの


の「小景異情」、

ふるさとの訛りなつかし停車場の人ごみの中にそを聴きにゆく


と詠った石川啄木。

あゝ おまへはなにをして来たのだと・・・
吹き来る風が私に云ふ


という中原中也の「帰郷」など。

数え上げればキリがないのですが、私は子どもの頃から「ふるさと」をうたったものに強く惹かれていました。
当然子どもなので、自分が生まれ育ったところを離れるなんてことを考えていたわけではないのですが、何かこう、取り戻せないたいせつな時間とか、経験や思いと場所のつながりだとか、そんなものからいつか遠く離れていくものだという感覚があったんじゃないかと、今になって思っています。

とはいえ「必要とあらばどこにでも引っ越すぜ!」という気持ちも常に持ち続けているんですけどね。


で、何でしたっけ?
思いつくまま書いてみて、「こんなん誰が読むのよ?」と、若干の疑問を感じつつ、そのままUPしてしまう私でした。

Lexis Nexis さんから頂戴しました。ありがとうございます。


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タイトルこそ、「暴力団排除条例ガイドブック」となっていますが、本の帯(amazon のイメージにないのが残念)にあるコピー、"反社会的勢力排除のバイブル"という言葉がピッタリの、まさにバイブル的な一冊です。


私は当初、業務上の必要性から暴排条項を検討するため、反社会的勢力排除に関する書籍や論稿に目を通していたのですが、いつの間にか個人的な興味からBlog記事を多く書いていました。
(ご興味のある方は、本エントリの末尾にリンクをまとめておいたのでご笑覧ください)

そして気づくと自室の本棚には10冊を超える類書が…(笑)
しかし本書は、東京都暴力団排除条例が施行された後に発売された数少ない反社排除に関する本であるとともに、これまでに世に出ている類書のうち最も実践的な一冊と言えるのではないかと思います。
この本を頂いたのは発売されて間もなくだったので、取り急ぎ感想を書こうと思っていたのですが、あまりに面白い内容だったのできっちり細部まで読んでいるうちに、感想を書くのがすっかり遅くなってしまいました。


さて、例によって目次の一部を抜粋します。


第1章 反社会的勢力の侵入手口と企業の対応
Ⅰ 最近の反社会的勢力排除の動向
Ⅱ 企業への反社会的勢力の侵入(関与)事例
Ⅲ 反社会的勢力排除の内部統制システム

第2章 反社会的勢力のチェック方法
Ⅰ どこまでを反社会的勢力とするのか
Ⅱ 反社チェックのポイント

第3章 暴排条項の導入
Ⅰ なぜ暴排条項が必要なのか
Ⅱ 暴排条項導入の留意点
Ⅲ 暴排条項のバリエーション

第4章 契約の拒絶・解除の実務
Ⅰ 契約締結前の取引拒絶
Ⅱ 契約締結後の解除の法的リスク
Ⅲ 既存取引先との関係解消の実務

第5章 海外の反社会的勢力
Ⅰ グローバルな要請に関する最近の動向
Ⅱ 海外反社排除の取り組み方
Ⅲ 海外反社対応のための英文版誓約書・暴排条項

第6章 雇用関係等からの反社会的勢力排除
Ⅰ 従業員に対する属性確認義務
Ⅱ 従業員が反社会的勢力に該当する場合の対応
Ⅲ 業務委託スタッフの場合

第7章 上場審査の実務及び出資者・株主への対応
Ⅰ 上場審査を受ける場合
Ⅱ 反社会的勢力との関係発覚による上場廃止
Ⅲ 出資者・株主への対応

第8章 暴力団排除条例の解説
Ⅰ 条例制定の背景と経緯
Ⅱ 条例の主な規定
Ⅲ 条例制定の狙い
Ⅳ 暴力団に対する利益供与の禁止規定の解説
Ⅴ 暴力団に対する名義貸しの禁止
Ⅵ 暴力団との密接交際
Ⅶ 公共事業からの暴力団排除
Ⅷ 民間事業からの暴力団排除
Ⅸ 不動産取引からの暴力団排除
Ⅹ 暴力団の威力利用そのものの禁止
Ⅺ 福岡県条例の改正
Ⅻ まとめ

資料
各都道府県の暴力団排除条例における特徴的な規定



第2章のうち「反社チェックのポイント」には実に62ページが割かれています。
ここには「最低限必要な取組み」といったことから、反社チェックの深度に応じた調査項目の例、さらにはチェックリストから取引先管理台帳のサンプルまで、これでもかといわんばかりに現場で役立つ情報が紹介されています。
そしてこの「サンプルをバンバン出す」というスタンスは、最後まで貫かれています。

次に第3章の「暴排条項のバリエーション」も、あるべき論に留まらないところがお役立ちです。
最高水準の暴排条項~一般的水準の暴排条項~簡易版の暴排条項、さらに取組みが進んでいる業界の暴排条項例などのサンプルが提示されているので、自社の業種やスタンス、或いは取引の相手方との関係を考慮しながら、自社に最適な暴排条項を考えてみる素材として最適だと思います。
実際に私も自社の暴排条項を、このサンプルを参考に少し修正しました。

さらに第5章、海外の反社会的勢力。ここは私がとても興味をもっているところでもあり、英文版の暴排条項など、他ではなかなかお目にかかれないような書式を見ることができます。
少なくとも私が英文契約書に暴排条項を入れ始めた頃は、日本語の暴排条項を単純に英訳した程度のものしか作れなかったので、「あのときにこんなサンプルがあったらなぁ…」と思わずにはいられません。
もちろんこのサンプルを参考に、早速英文契約書の暴排条項も修正しました。

そして圧巻は、「企業法務戦士の雑感」さんでも触れられていた、巻末資料「各都道府県の暴力団排除条例における特徴的な規定」という、全都道府県の暴排条例の一覧。
単純に資料として興味深いのはもちろん、全国規模で事業を展開されている会社(まぁ、まずほとんどの会社さんが該当するのではないかと思います)の法務担当者としては、都道府県によってそう大きな違いはないとはいえ、特徴のある条例(例えば福岡県)については、概要を知っておく必要があるものと思います。
先日、埼玉県の会社が東京都暴力団排除条例の適用を受けていましたが、つまり「ウチの会社は東京だから東京都の条例だけ見とく」では、ちょっと認識が甘いと言わざるを得ません。


その他にもいろいろと紹介したいところはあるのですが、長くなり過ぎるのでこの辺で。
何はともあれ、現時点で最も実践的な内容の「反社本」として自信を持ってお薦めします。


最後にこれは私見ですが、ある程度の規模の会社であれば何かしらの対応は既にされているものと思います(されていなければ、急ぎ対応する必要があります)。しかしながら会社によっては法務担当者がおらず、総務担当者が片手間に契約書を見ていたりしていて、「暴排条例が施行されたって聞いたけど、何をすればいいのかよくわからない」というケースも多いのではないかと思います。
本書は、そのような方にとっても「バイブル」として十分に活用できる親切な作りになっていると思うので、是非一度手に取って頂ければと思います。


ちなみに本書は、「dtk's blog」さん、「企業法務マンサバイバル」でも紹介されているので、違う切り口の書評も参考にしてみてください。


遅ればせながら、今年もよろしくお願いします。



【過去記事】
暴力団排除条項について考えてみた。(前半戦)
暴力団排除条項について考えてみた。(後半戦)
暴力団排除条項について考えてみた。(延長戦)
反社会的勢力対応のいま ―金融法務事情1901号より
東京都暴力団排除条例の施行と暴排条項 前半戦
東京都暴力団排除条例の施行と暴排条項 後半戦

【おまけ】
府中市暴力団排除条例
第12条が府中市ならではです。
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「企業法務マンサバイバル」のtac さんが10月21日に紹介されて、「dtk's blog」のdtk さんが10月25日に紹介されて、さらに11月1日には「企業法務について」のkata さんが紹介されていたこの本。


クラウドと法 (KINZAIバリュー叢書)クラウドと法 (KINZAIバリュー叢書)
(2011/10)
近藤 浩、松本 慶 他

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今さら何なのですが、コソっと私も感想など書いてみようと思います。
とはいえ既にお三方がそれぞれの視点からレビューされているので、私の感想を読んだからといって何か新しい発見があるわけでもないでしょう。
また、斬新な切り口でブッタ切る、というようなことも私にはできません。
ただ、「面白かったからやっぱ感想を書いとこ」というだけのことです。すみません。


さて、例によって目次の紹介です。
「そんなん、Amazon で見ればいいんじゃね?」という向きもあるかも知れませんが、あえてこの場で「私が紹介したいように」引用するのです。


第1章 はじめに
1 クラウドとは何ですか
2 クラウドの歴史・背景
3 クラウドにはどのような種類がありますか
4 クラウドのメリット・デメリット
5 最近の動き
6 東日本大震災を受けて

第2章 クラウド導入のモデルケース
(略)

第3章 情報セキュリティ
1 情報セキュリティ上、どのような問題がありますか
2 経済産業省のガイドライン
3 事故があったら、クラウドのサービス事業者にどのような責任が発生しますか
4 自己があったら、クラウドサービスを利用する事業者にはどのような責任が発生しますか
5 情報セキュリティ事故の際の取締役の責任

第4章 個人情報保護法等
1 個人情報保護法とはどのような法律でしょうか
(略)

第5章 コーポレートガバナンスとの関係
1 担当者や取締役はどのようなことに気をつければよいでしょうか
(略)
3 クラウドの導入と取締役の責任
4 e文書について

第6章 クラウドの国際性と法
1 外国の公権力によるデータの取得、差止命令など
  (1)米国愛国者法
(2) EUデータ保護指令
2 管轄や準拠法の問題
3 クラウドとeディスカバリ

第7章 知的財産権
1 著作権の問題
2 知的財産権の侵害に基づく差止めの問題
3 いわゆるオープンソースソフトウェア
4 クラウドと営業秘密

第8章 クラウドのサービス事業者との契約
1 クラウドのサービス事業者との契約では、どのようなことに注意すべきでしょうか
2 契約の内容ではどこに注意すればよいでしょうか
(1) SLA
  (2) クラウドのサービス事業者の責任制限
  (3) 情報セキュリティ、秘密保持、プライバシー
  (4) 再委託
  (5) サービス停止時の対応
  (6) 契約終了時のデータの取扱い
  (7) 準拠法
  (8) 管轄
  (9) その他
  (10) 参考となる資料等

第9章 クラウドのサービス事業者のリスクや責任
1 クラウドのサービス事業者に対する規制
  (1) 電気通信事業法
(2) 個人情報保護法
(3) 建築関係
2 クラウドサービスの利用者に対する責任
3 第三者に対する責任
(略)
(3) プロバイダー責任制限法

第10章 大震災とクラウド
(略)

第11章 クラウドの推進へ向かって



思いのほか長くなってしまいました。

しかし上記の目次を眺めてみて、あらためて感じるのはその網羅性の高さ。
tac さんが仰っている、


「~法務パーソンが気付きにくい・忘れがちなリスクがもっとあるんじゃないの?」という不安を抱えている状態だと思います。この本は、その「セキュリティ以外のクラウドリスクいろいろ」に対する不安をもきれいに解消してくれる本なのです。


という指摘に私も同感なのですが、本書を読むことを通じて、自社がクラウドサービスを提供している/提供されている場合に、どのようなことが問題となり得るのか、網羅的に確認することができるのではないかと思います。

そして確認して気になる点があれば、その方面のもう少し詳しい書籍にあたってみる、という利用の仕方が最適なのではないかと思います。

つまり法務担当者にとっては、法務業務とクラウドの関わりについての入門書として最適ですし、経営者やシステム担当の方などにとっては、クラウドに関する法律を概観するために最適な一冊といえるのではないでしょうか。


ところで先日ご紹介した本田直之さんの本でも「クラウドの有効活用法」というべきものにかなり紙幅がとられていましたが、どうも「クラウド」という言葉の輪郭がぼんやりしていて、個人レベルで利用するメールサービスから会社の業務フローシステムまでをまとめて論じられることにちょっとした違和感を感じていました。

この点に関して本書は、ターゲットが企業(法務)ということが明確ですので、そのような違和感はあまり感じずに済みました。
著者が弁護士ということもあり、第1章で「クラウド」の定義をいくつか紹介したうえで、


共有化されたコンピュータリソース(サーバ、ストレージ、アプリケーション等)について、利用者の要求に応じて適宜・適切に配分し、ネットワークを通じて提供することを可能とする情報処理形態


という経済産業省の定義を採用することがはじめに宣言されています。
やはりこのあたりを押さえておいてもらえると安心しますね。

とはいえやはり、まだまだ「クラウド」というと、kata さんが指摘されるように、


クラウドは、海外のデータセンターに情報を預けることとイコールではないし、(略)海外のデータセンターに情報を預けることで発生するリスクを「クラウドのリスク」ということには強烈な違和感を覚える


というような点で、やはり輪郭がぼんやりしてしまう点は見受けられます。
また、


クラウドのサービス事業者は、IT業界の大手で、技術力も高いと考えられます。


という本文の記載からも、「日本の小さなクラウドサービス事業者は想定していないのか?」とちょっと戸惑ったりもしました。

とはいえ、クラウドサービスを提供する企業/提供される企業それぞれにとって、この一冊を取っ掛かりに「どのようなリスクが考えられるのか」を見直してみることは、とても有用だと思います。

さらに契約を締結する段階で確認・検討すべき事項もある程度の網羅性をもって記されているので、一度はここにも目を通しておきたいところです。


そのようなわけで、予告通り何ら新しい視点はないのですが、感想を書いてみました。
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